その後、俺は貯金が百数十万円あったはずなのだ。しかし、一体何に使ったのか分からないが、九月末に辞めて、翌年の四月頃までには、もうほとんど空になっていた。多分、風俗とかで、知らないうちにちょっとずつ残高が減っていったのだと思う。
 この金を使って、脱毛の複数回契約をしていれば、その後の人生も、少しは加速しただろうけど、俺は相変わらず、無目的で、散財してしまっていた。美容外科での脱毛を思いついた時には、もう既に、残高がほとんど無かったんだ。本当にもう、どうしようもない浪費に関する支出内訳というのは、記憶に残らないものだ。まぁ、SEOには、十数万円の費用はかけた。その甲斐あって、俺の自殺防止サイトはかなり上位表示されるようになった。それは、かなり誇らしかったし、お礼のメールや質問のメールや相談のメールなどもちょくちょく来ていたので、それらにたまに対応していたりした。
 仕事の方は、十二月頃、今度はビデオボックスの仕事に就いた。これは、日給一万円で、一日十時間労働だったかな。健康保険とか厚生年金とかは一切ありません。休憩時間は、ほんの少ししかなかった。ビデオボックスとは、男性が狭い個室に入り、エロビデオを見て、性欲を解消するという形態のお店です。だから、店内にはエロDVDがたくさん陳列されていた。
 それで、俺は採用されたので、働き始めました。各地の店舗に行かされました。毎日毎日、週六日勤務だった。東京とかの離れたところの店舗にも行かされたな。交通費は自腹でした。そこで、俺は、男性が射精した後のティッシュを捨てたり、個室を布で掃除したり、う〜ん・・・こういう仕事でした・・・。
 店舗の運営の仕事を覚える前に、まずは清掃業務が主な新人の仕事だった。それで、俺は毎日毎日、忙しい時は、あっちの部屋を清掃し、こっちの部屋を清掃しで、忙しかった。店内の仕事だったけど、とても体力を使う肉体労働だった。あとはDVDを元のケースに戻したり。
 結局、これを続けていても仕方がないと思って、二週間で辞めてしまった。それに、単純に、他人の精子のついたティッシュなどの清掃は、嫌だったから。まぁ、なんでここに応募したのだろうか・・・きっと、自分自身がビデオボックスに来店した時に見た求人広告だったかな、忘れた。まぁ、会社の方も、すぐに辞めてしまう奴が大量に発生するのは見越しているので、どんどん新規で採用していた。だって、俺が東京の本社に面接に行った時も、他に面接に来ていたのは浮浪者みたいな人や貧乏そうな人がほとんどだったし。そういう人達が、俺を含めて、何十人も面接しに来ていた。ほとんどの人が私服だった。だから、直ぐに誰かが辞めても、毎週毎週採用しているので、人員は足りていたのかな。まぁ、順調な人生を送っている人は、他人のマスターベーション後のティッシュとか部屋の清掃をする仕事には就かないだろうからな。

 その後、俺の自殺防止サイト経由で知り合った自殺志願者の女性が、自分の旦那が霊能者だとかで、あなたには世話になったから無料で霊視してくれるように頼んであげますということで、俺はその霊能者の人と会いました。
 その人は、接骨院だかを営んでいて、若い頃、霊能者の修行をしていたそうな。それで、患者さんやらを無料で霊視してあげているそうな。それで、俺も、その時、今後、どうやって生きて行けばよいのかてんで分からなかったので、ワラにもすがる思いで、その人に霊視を頼みました。
 その人が俺を霊視すると、詳細は忘れたが、とにかく、俺は将来、何かを植える仕事をするとかなんとか言っていた。土を掘るとかなんとか・・・。俺の守護霊に色々と聞いたらしい。詳しいことはあなたの人生に影響を与えてしまうからと、教えてくれなかった。
 それを聞いて、俺は家に帰り、はて?何かを植える仕事って、一体なんだろう・・・?と悩んだ。それで、思いついたのが、植木屋だった。俺は植木屋の求人をハロワで探して、マジで電話しようかと思ったが、なんかふんぎりがつかなかったので、結局電話しなかった。
 その後、う〜ん・・・やっぱり、植えるといったら、野菜かなんかなのかなぁ〜・・・と思って、マジで農業をしようかと思った。以前にボラバイトで農業は止めたって決めたのに、あの霊能者がああいうことを言ったので、俺はまた農業が適任なんじゃないかと、そっち方面に考えてしまったのだ。それで、その資金を稼ぐ為に、横浜の風俗店に面接に行った。風俗店で住み込みで数年働けば、資金を稼げるかなぁ〜と思ったからだ。だから、東京スポーツに掲載してあった風俗店店員の求人に電話しました。しかし、結果は、なんか色々とトラブルがあって、店長を怒らしてしまい、店舗の裏口から追い出された。ああ、思い出したくないな。
 なんで俺はこんなに馬鹿なのだろうか。そもそも、その霊能者が言うことが本当かどうかなんて分からない。本当にその自称霊能者に霊能力があるのかどうかなんて、霊能力のない俺には判断出来ない。無料で霊視してくれるし、見た目も良い人そうだったので、その時は、「この人は本物だろう」と思い込んでいたが、果たして本当にそうなのだろうか・・・。それは、俺には分からない。
 次に、何かを植える仕事というのは、あくまであの霊能者が言ったことであって、俺が何かを植える仕事をしたいと思っていた訳ではない。なのに、俺は自主的な自分の意見・意志ではなく、まったくの見知らぬ他人の意見に従って、自分の人生を決めてしまうところだった。そんなの、アホすぎる。

 だから、もう、安易に霊能者と呼ばれる人には、近づかないでおこう。だって、その人の霊能力が本物かどうかなんて、俺には分からないからな。たしかに、俺はスピリチュアリズムを信じているので、霊視とか言われると、グラッと気持ちが傾いてしまった。しかし、スピリチュアリズムの本にも書いてあるとおり、世の中には偽者も大勢いるのだから、安易に霊能者に相談するのは良くないな。

 それに、やはり、自分の人生は、自分の意志で決めるべきだ。他人の意見に従って決めたら、それは、その後に上手くいった場合を除いて、きっと後悔するだろうからな。