俺は、五月まで無職でした。その間、一体何をしていたのか、よく思い出せない。しかし、嘘を書く訳にはいかない。書いている途中の今でも、この文章を書いていて、あまりにもグタグタ過ぎて、自分自身でも辛いのだから。

 それで、俺は五月に、ハロワで探した清掃の求人の面接を受けに行った。それは、別に給与が良かった訳でも、その他の待遇が良かった訳でもないんだ。ただ、清掃なら、俺にも持続して出来るかなぁ、と思ったからなんだ。で、面接を受けたけど、年齢に対して、あまりにも経歴がグタグタなのを指摘されて、とても鬱になりました。ただ、その会社でやっている、別事業の食品関連の工場でのアルバイトならば、もしかしたら大丈夫かもしれないということで、申し込みました。時給は800円と聞いていたけど、それでも、その時はもう、それにすがるしか、残された道はなかったように感じたからだ。はぁ〜・・・28歳で時給800円のアルバイトとは、死にたくなるな。

 後日、受かったという連絡が来たので、数日後、出勤しました。そこは、小さなお弁当の工場でした。そこで、俺は最初は、昼勤務で、総菜の盛りつけや、フライのカットなどを担当していました。イカのフライを包丁でカットしたり、トンカツをカットしたり・・・それをパックに入れたり・・総菜をお玉ですくって適量を盛りつけたり。そんな仕事でした。で、夜の八時までだったのだが、そこは、その日の仕事が終わらないと、帰っては行けない会社でした。つまり、世間でよく言う、サービス残業が常態化した会社だったのです。俺はここで、サービス残業という名の理不尽な扱いを受けた。しかも、ただのバイトだったのに・・・。勿論、厚生年金とか健康保険とかはなしで、雇用保険さえも、四ヶ月目からしか、なぜか適用されなかった・・・。何もない、ただのバイトなのに・・・酷すぎるけど、その時は、俺はもう、自分の経歴に対して、どうしようもない思いに囚われていて、これも仕方ないと思い込んでいたようだ。
 だから夜八時までなのに、まだトレーの洗い物が終わらないからと、何十分も、さらには一時間も、さらには一時間数十分も、サービス残業させられた。けど、その時の俺は、重ねて言うが、精神が本当に弱っていて、かつ家にいても、どうしようもないしで・・・・もう本当に、奴隷のような精神状態でした。それに、そこは、他のバイトや正社員達も、当たり前のようにサービス残業をしていたので、なんだか、俺もその雰囲気に飲まれて、それが正常であると思い込んでいたのだ。それに、今まですぐに辞めてしまっていたから、なんとかここで、最低でも一年間は頑張ろうかなんて、今から思えば馬鹿ずきる考えで凝り固まっていたのでした。
 それで、昼の勤務が三週間ほど過ぎた後、俺は突然、夜の勤務に変更になりました。夜の八時から翌朝の五時までという契約でした。ただ、サービス残業が常態化している会社にとっては、こんな時間の縛りなど、無いに等しいのだ。だって、いつも出勤したら、用紙を書かされるんだ。それは、『私は西暦○○○○年○○月○○日、午後八時から午前五時まで働いた』ということを、自筆で書かされる。まだ、その日の勤務は始まったばかりなのに、終了時刻を確定されるのだ。それは、きっと、その人が辞めた後に、裁判を起こされないように、前もっての予防策なのだろう。セコいなぁ。というか、これは殺人だよ。時間泥棒だよ。マジでサービス残業のせいで疲れすぎて、心臓ドクンドクンと異常な速度で脈を打って、本当に死ぬかと思った。毎日睡眠時間が三時間程度だったし。しかも、ここは家から近いにも関わらずだよ。 それが週六日続いた。給与明細だって、なぜか基本給が五万数千円で、残りの十数万円が残業代ということになっていた。は?どういうこと?ふざけんなよ!と、今なら俺ははっきりと言えますが、当時の俺は、まさに奴隷でした。以下、詳細を書く。

 昼勤務の時でも、一時間から一時間半程度のサービス残業をさせられていたが、夜勤務になったら、そりゃもう、酷すぎた。俺はただのバイトなのに。夜勤務は、俺が配置された弁当の盛りつけ班には、おじさんのバイトとおばさんのバイトの二人がいた。そこに、俺が加わったのだ。夜八時から、延々と盛りつけて行くのだ。それが終わったら、清掃とか洗い物とかの片付けと、翌日の準備・・・というか、その日の夜の準備だな。しかし、圧倒的に仕事量に対して人員が足りないので、午前五時までに終了できるはずがなかった。社長は、一生懸命に頑張って、午前五時よりも早く終わらせることが出来れば、とっとと帰っていいよ、とか言っていたらしいが、そんなの無理に決まっている。どんなに効率よくやっても、そりゃ無理だ。だって、休み無しで働き続けて、いつも午前十時とか、酷い時には、正午を過ぎた時まであったんだから。それも、すべてサービス残業という名の搾取だよ。例えば俺が会社の金を10万円盗んだら、警察に逮捕されるのに、会社が10万円分の俺の残業代をサービス残業とかいうふざけた風習に甘えて払わなくても、何の罪にも問われないとは、一体どういうことだ?マジで日本、死んでるな。 
 最初の一日目は、他のバイトの人も俺に配慮して、ちゃんと休憩時間を取らせてくれたよ。だけど、なぜだか、他のバイトの人達は全然休まないんだ。それで、段々と分かって来た。夜勤務は、激務で、とうてい時間内には仕事が終了しないので、バイト達は、必死になって、少しでも早く終わらせようとして、無休憩で働いていたんだ。それに、朝には出荷のトラックが来ちゃうから、それまでに何としてでもすべての弁当を完成しなくちゃいけないんだ。弁当を盛りつけるだけじゃなくて、それからラップをして、各スーパー向けの台車に振り分けなければならない。それにもかなり時間がかかるので、みんな必死になって頑張っていたのだ。だから、その雰囲気の中、俺だけが本来決められた一時間の休憩時間をちゃんと取る訳にはいかないので、翌日から、俺も休憩時間はほんの10分程度の食事の時間だけ取って、後はトイレ休憩だけで、そりゃもう、馬車馬のように働いた。だから、延長分のサービス残業時間分だけじゃなくて、本来の休憩時間分も働き詰めなんだから、その分もサービス労働だよな。
 ふざけんなよ、まったくよ。思い出したら、本当に馬鹿らしい。だって、夜八時から夜十時までは時給800円で、それからは午前五時までは時給1000円だから、日給は7600円なんだよ。休憩時間が間に一時間あることになっているから。だけど、サービス労働分を足すと、時給500円とか、最悪な時は時給400円台の時もあったろう。あー、アホらしい。でも、その時は、周囲が当たり前のようにそれをしているので、それにつられて、俺もそれが当たり前に思っていたんだ。ただ、俺は弁当の盛りつけコーナーにいたのだが、後ろの方にあるラップをかける機械とか台車に乗せるコーナーでは、人が頻繁に入れ替わっていた。ある日、ラップコーナーにおじさんが新しく入って、そこで働き出したのだが、退社時間が来ても当たり前のように働かされる雰囲気に対して、「契約と違うじゃないか!!!!ふざけんな!!!!!」みたいに怒って、帰ってしまい、翌日からは出勤して来なかった。その時は、俺もみんなも、「あ〜ぁ、忍耐力がないなぁ〜」みたいな感じだったのだが、何のことは無い。間違っていたのは俺達だったのだ。たかがバイトの身分で、そんなに一日に四時間も五時間も六時間も七時間もサービス残業させられて、思考が狂っていたのだ。なんか、カルト宗教の信者みたいに、あべこべに考えていたのだ。正しいのは、すぐに辞めたそのおじさんであり、間違っていたのは、サービス残業地獄にこき使われていた俺達だったのだ。
 途中で、正社員の若者が、昼勤務から弁当の盛りつけ班に配置転換されて、その後、後ろのラップや台車のコーナーに配置転換されたけど、ある日、その人は、突然バッくれた。その人は、それまでニコニコと対応していたが、心の中では、もう会社に対してブチキレていたのだろう。会社のマネージャーがその人の家にいっても、会おうとしなかったらしい。あんな穏やかな青年をブチキレさせてバッくれさせるとは。ただ、あの青年にとっては、その方が確実に良かった。多少の空白期間が出来たとしても、あの会社で定年までなんて、無理だし、それはあの青年のためにはならなかった。だって、バイト同士でも、正社員が帰った後の深夜帯で、「こんな会社じゃあ、あの独身の○○、結婚なんて出来ないよ」なんて、愚痴や文句や噂話を言い合っていたし。そりゃそうだ。こんな仕事形態じゃあ、絶対に無理だろう。婚活する時間的余裕も精神的余裕も金銭的余裕もないだろうよ。まぁ、正社員といっても、ボーナスは数万円だけだったとバイトのおじさん経由で聞いたし・・。何がなんでも正社員じゃ、ないよなぁ。正社員という身分にも、ピンからキリまであるよな。本当にもう、正社員の皆さんも、疲れ果てていたよ。顔が疲労で覆われていたな。
 ただ、俺の弁当の盛りつけのコーナーも、作業が遅いとか文句を言われた。くそっ!!何が作業が遅いだ。ただ単に、仕事量に対して人員が圧倒的に足りていないだけだよ。だって、後に、弁当の盛りつけコーナーの人員を二人増やしたら、午前五時で上がれた時もあったんだ。その時は、まだ作業をしていたラップとか台車コーナーの人達から文句が出た。「えー、もう帰っちゃうの〜、早いよ〜」みたいに言われたのだが、それが本来の契約なんだから!!ただ、やはり人員を増やすとコストが増えるから、すぐに人員は削減され、また元のサービス残業地獄に戻りました。いつも帰途につくのは、もう学生達が登校し終わった午前・・・というか、ほぼお昼の午前でした。最悪な時は、マジで12時15分まで仕事させられたからな。マジ、ふざけんなよ、偉ぶりやがってクソ野郎が!!!7時間15分もタダ働きさせられたぜ!!!しかも、休憩時間もほぼ働いていたので、実際はプラス40分くらいだ。ああ、もうね、マジで身体が死ぬよ。家に帰って、風呂とか飯とかでなんだかんだで、寝るのが午後三時・・・で、起きるのが午後五時・・・それから飯食って・・・出勤・・・それから地獄・・マジで、週一日の休日は死んでいたよ。

 でも、正社員の方も、バイトと同様に、サービス残業地獄だったので、いつもピリピリしていた。昼勤務の正社員の人も、作業中にぶっ倒れた人がいたし。午前8時に出勤して、深夜12時過ぎまで残っていた時もあったからな。普通、睡眠時間が8時間だろ。仕事以外のプライベートな時間が8時間って、どういうことですか?マジで、この日本は震える程、間違っている。まぁ、公務員みたいに、きっちりと決まった時間に、定時で上がれる人には分からないでしょうが、日本には、ネットで調べると、日本全国に、こういう職場が至るところにあるという。そのくせ、先進国の中で、一人当たりの時間あたりの効率が最悪なんだってさ。しかも、それはサービス残業時間は含まれていないだろう。マジ、この国って何なの?ドイツとかフランスとかイギリスなら、こんなこと、無いと思うけど・・・。

 ある時なんて、ある正社員の若い女性は、サービス残業と仕事のストレスと上司との人間関係で精神がおかしくなっていて、夜勤務のバイトのおばさんに、「もう、今考えていることは、自動車を運転している時に電柱に突っ込むことだよ」なんて涙を流しながら言っていた。それに対して、バイトのおじさんやおばさんが、「あのねぇ、逃げることも大切だよ。逃げることは卑怯でもなんでもないよ。逃げるが勝ちって言うでしょ。おばさんの息子がもしもあなたみたいになっていたら、間違いなく辞めなさいと言うよ」なんて説得していた。けど、その若い女性社員は、まだここに来て一年も経っていないし、今辞めたら、なんだか負けたような気がするので、まだ頑張るとか言っていました。あー、アホくさい。一方で、自分で自殺したいとか言っているのに、それでもまだそこで頑張るって言う精神構造は、こりゃ、日本人特有のものだな。欧米人ならば、さっさと辞めちまうと思うけどな。そうやって、毎年毎年、大勢、過労死したり、過労自殺したりしているのだな。逃げりゃいいのに・・・まぁ、そりゃ、この時の俺にも言えることだったが。さっさと最初の頃に辞めちまえば良かったのにな・・・。でも、辞めたくても、マジで俺が辞める前に、次々と他の人達が辞めちまったので、俺が辞めるタイミングを逸したというのもある。今から思えば、俺が辞めた後のことなんて無関係なんだから、そんなの一切配慮せずに、辞めちまえばよかったんだ。上司が難色を示したって、そんなの知るかって言ってりゃよかったんだ。なんでこの時の俺は、こんなに俺を虐めている会社に対して、アホな配慮というか、遠慮の気持ちを持っていたのだろうか・・・。マジでアホ過ぎる。
 本当によぉ〜、マジで・・・あの上司とか、超怒鳴って来たけど、ふざけんなよ。こっちは何時間もサービス残業してやってんのによ。しかもバイトなのに・・・。アホらしい。アホらしい。アホらしい×10000000000000000回だよ。本当にもう、アホらしい。ここ辞めてからずっと後で、ユーチューブで、外食産業でサービス残業地獄で過労死しちゃった24歳の若者の話を見たが、ありゃ、本当に殺人だよ。これは、人殺しです。大体、人の身体はそんな頑丈には出来ていない。ちょっとの不調でコロッと死ぬような弱い生物なのに、一日16時間とか労働させるって、どういう神経しているんだ?マジで鬼畜だな。殺人鬼だよ。日本でこんなに過労死があるのは、殺人鬼の経営者が多すぎるからだよ。あと、サービス残業をさせなけりゃマトモな利益が生み出せないという低能な経営者ということだな。合法的な殺人鬼だな。いや、違法なんだけど、日本では見て見ぬ振りされているので、半ば合法化しているって意味だよ。しかも、殆どの過労死は認定されないしな。あー、アホみたいな国だ。その過労死した若者は、やっと正社員になれたので一生懸命に頑張っていたが、やはり身体が限界を超えて、ぶっ倒れて死んでしまいましたとさ。他にも、ネットで見たのだが、やっと正社員になれた28歳の若者が、ジュースを路上の自販機に補充する仕事に就いたけど、とにかくサービス残業地獄だったそうな。けど、やっと就けた正社員の職だからと続けたが、とうとう精神に異常をきたして、自殺してしまったそうな。だから、そりゃ、正社員が非正規に比べて優遇されていて、日本ではブランドみたいな価値があるのは、そりゃ分かる。でも、死んじまったら終わりなんだよ。過労死したり過労自殺しちゃったら、正社員もクソもないよ。本当に、この国は狂っているよ。生きる為に仕事をするはずなのに、この国は仕事の為に命を捨てているからな。
 
 それで、ここは約五ヶ月間在籍しました。本当なら、サービス残業代で、プラスものすごい金を受け取っても良かったはずなのにな。まぁ、俺が辞めた後、そこはどうなるのだ?と、そんなことをかなり心配していた時期もあったのだが、そんなこと、どうでもいいじゃねえか!大体、こんなクソ会社、知りません。俺はどこまでお人好しなんだ、まったく。お弁当の盛りつけが、俺がいなくなったことで間に合わなくなろうが、そんなの知るか馬鹿!!!俺が辞めると同僚のバイトの皆さんに言ったら、そのバイトのおばさんも俺に触発されて、辞めると言い出した。んで、俺が辞めた二週間後に辞める予定らしい。そのおばさんも、最初の頃は、そのおばさんの後に入って来て、すぐに辞めてしまった他のおばさんのバイトの人達のことを、忍耐力が無いみたいな言い方をしていたけど、俺が辞めるということを聞いて、ついに呪縛が解けて、やっと辞めることにしたらしい。だって、そのおばさんは、その仕事の他にも、もう一つ仕事をしていたんだ。一体、いつ睡眠していたのだ?それなのに、毎日毎日、ここでサービス残業で、無駄な時間を五時間も六時間も取られていたんだ。可哀想すぎる。まぁ、そのおばさんは、別の仕事が入っている時は、なんとか他のバイトの人達に懇願して、定時で上がらせてもらっていたけど、それが本来の姿なんだよ。それが正しいの!!!!!何も、申し訳無さそうにする必要はないんだよ!!!!本当に、日本人はお人好しばかりだ。日本全土、洗脳国家だな。だけど、辞める決断をしないと、いつまで経っても、搾取されるだけだからな。日本の労働なんとか署なんて、アテにならんな。アテになるのならば、日本中のサービス残業や違法労働はとっくに駆逐されているだろうに。

 とにかく、アホらしい。アホらしい。アホアホ。仕事で過労死するのもアホ。仕事で過労自殺するのもアホ。そして正社員を過労死・過労自殺させる経営者は鬼畜。まして、バイトにまでサービス残業させるなど、論外だ!!!!ふざけんな馬鹿!!!!まぁ、その他のバイトのおじさん達は、もう他に行くところがないとかで、本当は辞めたいけど、辞められなかったようだ。警備員でもすりゃ、まだマシなんじゃないかなと思うが、それは人様の人生なので、口は挟まないでおく。
 ま、そこは、あまりにも労働に対しての利益が少なすぎる。だって、それだけ社員とバイトが一丸となってサービス残業しまくっていたのに、赤字だと、同僚のバイトのオジさんに対して、正社員のおばさんが叫んでいたからな。みんな、ピリピリしているから、すぐ怒鳴るよ。もうね、利益率が低すぎる。これでは、ビジネスとは言えません。半分、ボランティアだ。これだけ働いて赤字って、何だよマジで・・・。まぁ、それでも、こんな、夜勤なのに7600円しか貰えない仕事でも、世の中にはこの低条件でも仕事せざるを得ない人が大勢いるので、俺やおばさんが辞めるとしても、たいしてダメージではないらしい。まぁ、代わりがいくらでもいるってことだな。そんな希薄な関係なのに、毎日毎日、身体が悲鳴を上げるまでサービス残業をして貢献するなんて、本当に馬鹿みたいだった。サービス残業したって、それが当たり前に見られて、何の感謝もされないしよ。本当にふざけた会社だ。
 けど、俺はここを経験したおかげで、自分につきつけられたふざけたことに関しては、ある程度は、ちゃんと意見できるようにはなったと思う。ここに勤務している最中は洗脳が解けなかったので無理だったが、辞めてから後で振り返ると、マジでハラワタが煮えくりかえるぜ!!!!!!だから、俺に対してこんなふざけた条件をさせるような職場だったら、今後は、はっきりと言うつもりだし、多分、言えるだろう。