●クリスチャン・サイエンスの教祖の懺悔ーその二
結局このスピリットは、この方法ではラチがあかないと判断され、霊媒から引き離された。代わってエディ女史が出て、右のスピリットのことに関連させながら、次のように語った。(その後の一年間に二度出現している。ここでは重複を避けて、以上の三回の話を一つにまとめて紹介しておく)

「こんばんわ、エディです。メアリ・ベーカー・エディです。今ご覧に入れた、かつての私の信者に関連して申し上げたいことがあって、出させて頂きました。
 今のようなケースでは、スピリット対スピリットとの関係での説得では駄目でして、もう一度物的身体に宿らせてみる以外に手だてがないのです。いずれにしても、こうした信者を見ると私の心は痛みます。私が真実を知っていながら、それに心を閉ざしたことに全ての原因があるのです。もしも私が霊的真理の重大性を理解し、そのままを教えていれば、こんなことにはならなかったはずです。私は本当のことを、ちゃんと知っていたのです。なのに、自分を偽ったのです。
 今回の招霊に先立って、私はマーシーバンドの方にお願いして、かつての私の信者を百名ばかり集めて頂きました。ウィックランド夫人に乗り移ったスピリットは功を奏しませんでしたが、その様子を見物していたスピリットに対して、いい実物教育になったと考えております。
 地上時代の私は、信者に対して精神のみが実在であると説き、私の著書を読んで読んで読み返し、第二の本性としてしまいなさいと言い続けました。それを素直に信じて実行してきた信者が、毎日のように霊界入りしてきます。そして同じことを実行し続けています。私が、もうそんなことをしなくとも良いと言って、ごく当たり前の霊的事実を説いても、まったく耳を傾けようとしません。私の著書に書いてあることしか念頭にないのです。その、狭くて間違った世界に閉じ籠ったきりなのです。
 今夜はマーシーバンドのご厚意に感謝しております。そうした私の信者が大勢連れてこられて、今の女性のスピリットを貴重な実物教育としてくれたことと思います。本人自身も、いずれは目覚めてくれることでしょう。
 私も元々は、入神霊媒でして、リーディング(注)の催しに出席しておりました。が、正直言って、私は霊媒という受け身の仕事に飽き足らず、自分独自の宗教を興したいという野心を抱いたのです。そして、クインビー博士の説と、前回申し上げた私の霊的体験を組み合わせて、クリスチャン・サイエンスを創立しました。
 (注 霊視力と霊聴力を使って、手渡された封書の中身を読み取ったり、他界者の遺品を手にもって、そのスピリットの現在の状態を述べたり、本人からのメッセージを伝達したりする。時には何の手がかりもなしに、列席者の側に寄り添っているスピリットに関して、他人の知るはずもないプライベートなことを述べたりすることもある)
 私には霊能があり、特に晩年は霊界と現界を何度も行き来しておりましたから、霊界の実情は分かっていたのです。既に他界していたアルバートからも、本当のことを語っておくべきだと強く諭されていたのですが、私はそれを拒否しました。自動書記による通信も、実はたくさん受け取っていたのです。が、通常意識に戻るとそれを破棄しました。
 リーダーの立場に立つと、人間はとかく自分独自のドグマを主張したがります。それを目玉にして信者を集め、それを自分の金づるとして確保する方策を考えます。少しの間は上手くいっても、そのうち必ず真実が頭をもたげ、広がります。
 真実を恐れてはなりません。真実を恥じてもなりません。人間は、いつかは真実が分かるようになります。真実は実在しているのですから、いつかは花開きます。ドグマや新説で飾り立ててはいけません。私も恐れず真理を説いていれば、私の教会にとっても、よほど良かったはずなのです。
 次に、私がこちらへ来てからの体験を少しだけ述べておきましょう。私は死後のことについて知っているつもりでした。実は意識の段階では、自分だけは肉体に宿ったまま永遠に死なないと思い続けていた為に、死後の現実を目の当たりにして戸惑いました。そして今、それがいかに幼稚で滑稽な考えであったかがよく分かります。
 ご承知の通り、私は物質というものは実在しないと説いておりました。なのに、私の死に際して、なぜ遺体の埋葬にあれほどの大金をかけたのか。それは明らかに私の教えに反することでした。が、やはり地上の人間にとっては、肉体は実在です。
 霊界へ来て生命に目覚めた時ーこちらの生命こそ実体あるものですー私は肉体に代わって、霊体を備えておりました。地上にいた時も、度々霊界を訪れては肉体に戻るということを体験しておりましたので、この度もまた戻れるつもりでいました。が、肉体は朽ちておりました。それなのに、なお私は霊体を肉体と思い込んでいました。死というものはない、絶対に死なない、という意識を強く持ち続けていた為に、そういう観念が出来上がってしまい、霊的実情を悟っていく上での障害となっておりました。
 そのことを、私に諭す為にまず姿を見せてくれたのは、弟のアルバートでした。ご承知のように、私は死者が戻ってくることはないと説き、著書にもそう書いております。それで弟を見て、瞬間、その現実を無視しようと思いました。死者のスピリットと会うなどということはないのだと自分に言い聞かせていますので、それが真実に思えていたのです。若い頃霊媒をしていた時期にも、弟が私に乗り移って喋ったことがあるのですが、その後それを拒否するようになりました。
 その弟が面と向かって『考えが間違ってるよ。どこがどう間違っているか教えてあげるから、おいでよ』と言うのです。
 次に現れたのは最初の夫でした。私のことを一番よく理解してくれていて、彼の手引きで次から次へと、かつての知人・友人と会うことが出来ました。そして、師のクインビー博士に出会いました。すると、こう言われましたー『君は私の説を自分のものにして、私のことはその後一切口にしていないね』と。
 そう言われて私は、自分がいかに利己的だったかを思い知らされました。罪の意識を感じました。博士に救って頂きながら、その恩を忘れておりました。
 さて、少し時間を取り過ぎたようですね。今回は、私の告白記事(注)を公表してくださったことに対するお礼を述べたくてやってまいりました。あれによって、私の信者が目を覚まし、生命は死後にこそ実在するのだということを理解してくれることと期待しております。
 他人の教えにすがってはいけません。自分で考え、自分で判断し、自分をコントロール出来るようにならないといけません。他人の為に役立つことをするのは、それから後のことです。
 私は、メアリ・ベーカー・エディです。出させて頂いたことに感謝します。さようなら」

 (注 ウィックランド博士のサークルが発行していたReasonというタイトルの機関誌に掲載された)