自殺と狂気

十四、地上での人生に対する視点を変えることによって得られる心の平静、甘受の気持ち、将来への信念は、霊に心の落ち着きを与えるのですが、そうした心の落ち着きとは、自殺や狂気への最良の予防薬となります。狂気の殆どは、人間が耐えることの出来ない苦しみが原因となっています。スピリティズムが教えているように、高い視点からこの世を見ることが出来るようになると、普通であれば、大きな落胆の原因となるような悲運や失敗を前にしても、それらを冷静に、時には喜びさえ感じて受け止めることが出来るようになります。同時に、こうした苦しみを乗り越えさせてくれる力が、人間を精神的な動揺から守ってくれるのです。

 自殺に関しても同じことが言えます。無意識の自殺と考えられる、泥酔や狂気によって起きる自殺を除けば、各々の直接の動機が何であれ、殆どの自殺の原因は人生に対する不満であると言うことが出来ます。苦しみがたった一日だけのものであり、次の日には必ず幸せが来るのだと確信出来る人は、容易に耐えることが出来ます。そうした人は、この世の苦しみに終わりがないと思わない限り、絶望することはありません。永遠の生命の中で、人間の一生とはどのようなものなのでしょうか。それは、ほんの一日よりも更に短いものなのです。それにもかかわらず、自分の生命と共にこの世の中の全てのことが終わると考えて、嫌なことや失敗を悲観し、永遠の生命を信じない者は、死ぬことのみによって苦しみから救われると考えるのです。そして、この世におけるどんな解決も期待出来ないまま、苦しみを自殺によって短縮することが自然で論理的であると考えるのです。

 神を信じなかったり、将来への単純な疑問や唯物主義的な考えを持つことは、人を自殺に導く大きな動機となり得ます。なぜならそうした考えは、道徳の弱体化をもたらすからです。自分の知識の権威に支えられたある有能な人が、人間の死後には何も存在しないということを、彼の聴衆や読者達に対して納得させようとしているとしたら、それは、「不幸であるのなら自殺してしまいなさい」と言っているのと同じことではないでしょうか。この有能な人は、彼の聴衆や読者達が自殺しない為になんと言ってあげることが出来るでしょうか。自殺しないことによって、何を得ることが出来ると教えてあげることが出来るでしょうか。どんな希望を与えることが出来るのでしょうか。「無」以外何もありません。不幸な者に与えられる英雄的な唯一の救いであり希望が「無」なのであれば、苦しみが増す前に、直ぐにでも「無」の中に身を投じた方が利口であると、必然的に結論が出てしまいます。
 したがって、唯物主義的な考えは、自殺の肯定を多くの人に伝えることになる毒なのです。そして、唯物主義者達は重大な責任を負うことになるのです。スピリティズムの考えでは、生命に謎を抱くことが出来なくなる為に、人生の様相は変わります。スピリティズムを信じる者は、生命は死を超え、全く新しい形で、無限に続くということを知っています。このように理解することが、私達に忍耐と甘受の気持ちを与えてくれ、私達を自然に自殺から遠ざけてくれます。また、そこから私達の中に道徳的な勇気が生まれるのです。

 スピリティズムは、自殺の問題に関して、もう一つの有益で、より決定的な結論をもたらします。スピリティズムは、自殺した人の死後の不幸な状態を見せることで、誰も罰せられることなく神の法則を破ることは出来ないのだということを証明してくれます。神は、人間が自分に与えられた人生を短縮することを禁じています。自殺した者の味わう苦しみは永遠ではなく、一時的なものですが、だからといって、それが恐ろしいものではないということではありません。神の命令が下る前にこの世を去ろうとする者がその実態を知ることが出来れば、誰もがもう一度考え直したくなるような恐ろしいものなのです。スピリティズムを信じる者は、このように自殺に反対する多くの理由を持っています。地球上に生きる間に甘受し、堪え忍んだ苦しみが大きければ大きい程、幸せにすることの出来る未来の生命への確信。人生を短縮することが、期待する結果とは全く反対の結果を生むという確信。苦しみから逃れても、更に恐ろしく、長引くことになる苦境へ追いやられるだけであるという確信。自分を死に追いやれば、より早く天国へ行けると考えることが誤っているという確信。自殺は霊の世界で愛する者と再会する上で障害となるという確信。これら全てのことが、自殺は失望しかもたらさず、自分達の関心とは相反しているものであると結論付けてくれるのです。スピリティズムが改心させる自殺願望者の数は非常に大きなものです。もし、全ての人がスピリティズムの考えを信じるようになれば、意識的な自殺者はいなくなるでしょう。自殺に関して、唯物主義とスピリティズムの教義のそれぞれがもたらす結果を比べるならば、一方の理論は自殺を促し、一方の理論は自殺を防ぐのだということが分かり、そのことは経験からも証明されています。
       
       
自殺してはならない霊的な理由 自殺志願者は、まず[自殺の霊的知識]を読んで!
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