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自殺してはならない理由


 《この度こうして私をお呼び頂き、ささやかながら私が携えて来た知識を皆さんと分け合うことになったことを光栄に思っております。この新たな体験によって私が何等かのお役に立てば、こうして皆さんの前にお邪魔した甲斐があったことになります。皆さん方は既に霊的実在についての知識をお持ちの方ばかりです。従って私から改めてその重大性、特に今日の地上世界における不可欠性について強調する必要はないと思います》
 シルバーバーチ

 永年ハンネン・スワッハー・ホームサークルだけを拠点として語り続けて来たシルバーバーチが、最近になって三つのスピリチュアリストの団体からの招待に応じて、それぞれの本拠地で講演と一問一答を行った。
 一つはコペンハーゲンで開催された国際スピリチュアリスト連盟 International Spiritualist Federation の総会において、二つ目は英国心霊治療家連盟 National Federation of Spiritual Healers において、三つ目は大英スピリチュアリスト協会 Spiritualist Association of Great Britain において、それぞれの評議会員を前にして行われた。

○I・S・Fでの講演と一問一答
 「私達霊界側から言わせて頂ければ、こうした機会をもつことは皆さんの意識の焦点と視野を正しく修正する上で誠に結構なことだと思います。この霊的大事業に携わっておられる皆さん方も、ややもすると日常生活の煩雑さや揉め事に巻き込まれて、こうして地上で一緒に仕事をしている我々を鼓舞している雄大な理想像(ビジョン)の無垢の美しさを、つい忘れがちだからです。
 物質の世界に閉じ込められ、肉体をもつが故の数々の義務を背負っておられる皆さんにとって、自分が本来は霊的存在であることを忘れずにいることは難しいことでしょう。が、皆さんの本性の中を神の力が流れているのです。又皆さんの中の大勢の方が霊的能力を授かっておられます。それは自分より恵まれていない同胞の為に使用することが出来ます。
 皆さん方が進まれる道は決して容易ではありません。それは皆さんが、潜在的な霊的資質を開発するチャンスを自ら欲するだけの器量を具えていらっしゃるからです。神の使節に気楽な人生は有り得ません。進化と向上を求める者、地上の人間として到達しうる限りの高級界に波長を合わせんとする者にとって、安易な道は許されません。近道など有りません。厳しい試練と絶え間ない危機との遭遇を覚悟し、今携わっている仕事、それは実は-これがいつも議論の種になるのですが-皆さんが地上へやって来る前に自ら志願されたものなのですが、それをあくまでも成就させんとする決意を要請されます。それは皆さんが自ら選択された道なのです。
 霊的闘争における勝利はそう簡単には得られません。霊的なものが支配権を握るに至る過程は長くて過酷なものです。が、一度手中にすれば、それは永遠です。決して失われることはありません。霊の褒賞は決して傷付きません。決して錆び付きません。決して腐食しません。永遠に自分のものとなります。それは皆さんが、皆さんの一人一人が、自らの努力で勝ち取らねばならない、永遠の財産なのです。
 皆さんと共に仕事をしている私達霊界の者が、いくら皆さんを愛し、窮地にあって守り導き、道を教えてあげようと望んでも、所詮は皆さん自身の道なのです。その道を進むのはあなた方自身です。そして一つの困難を克服する毎にあなた方自身が霊性を強化し、霊的な仕事に携わる者として、より大きな資格を身に付けて行かれるのです。
 ですから、困難の挑戦を大いに歓迎することです。困難を避けたいと思うような者は神の仕事には無用です。闘いの真っ只中、しかも物質万能思想との闘いという最大の闘争において、あまりの激しさに将軍や指揮官が敵前逃亡をするようなことがあっては断じてなりません。耐え忍び、自ら志願したこの神聖なる仕事を成就すべく、鍛えられ、しごかれ、又鍛えられ、しごかれなければならないのです。
 我々に対抗する勢力は、地上においても霊界においても、実に強力です。しかし、いかに強力といっても、神の意志を凌ぐ程の力はありません。永年に亘って地上での仕事に携わり、幸いにして地上での神の計画の一部を知ることを得た私が絶対的確信をもって申し上げますが、霊力は既に地上に根付いております。既に地上生活に滲透しているその霊力を駆逐する力は、物的世界に帰属する勢力、すなわち宗教界の有力者にも、新聞にも、医師にも、或いはそうした勢力がいかなる形で結集したものにもありません。
 優れた霊の道具(霊能者・霊媒)の出現によって世界各地に霊力の前進基地が既に設けられ、今その地固めが行われているところです。そこを拠点として、神の子等が一体自分はどこの誰なのか、何者なのか、なぜこの地球上に存在するのか、その存在の目的を成就するには何を為すべきかを、自ら理解して行くことになるのです。
 皆さんはこの度海山を越えて遠く隔てた国々から集まって来られましたが、皆さんを結集させた力は、普段他人の為の仕事において我々を鼓舞している力と同じものです。私達は自分のことは何も欲していません。名誉も求めません。ひたすらにお役に立ちたいと望み、神の子等が、霊と精神と身体とが調和的に機能した時に得られる充足感、豊かさ、美しさ、生きる喜び、こうしたものを味わえるようになる生き方をお教えしようとしているのです。あなた方は自分を役立てる掛け替えのない好機を手にしていらっしゃいます。そして他人の為に自分を役立てること程偉大な宗教的行為はないのです。
 それは神の愛の働きに他なりません。この度このデンマークの地に世界のスピリチュアリストの代表が総結集し、神の計画の推進の為の会議をもつことになったのも、その愛、その叡智、その霊力の働きによるのです。
 ですから、時として闘いが厳しく、長く、ともすると投げ槍な気持になりそうなことがあっても、決して挫けてはなりません。もしも挫けそうになった時は一旦物質界から身を引くことです。気持の流れを止め、精神を統一して、内部の霊的バッテリーが充電される状態にするのです。一新された生命力、一新された元気、そして一新された目的意識を漲らせるのです。かくして元気百倍して物的世界に戻り、仕事を続けるのです。
 本日はこうしたメッセージをお届けする機会をこの私にお与えくださったことを感謝いたします。これは私個人の考えではありません。私をこの地上に派遣した霊団からのメッセージを私が取り次いだまでです。私と同じように他の多くの霊が地上へ派遣されており、皆さんとの協調関係を通じて、いかに我々が神の計画において一体であるかを理解して頂くように配慮してくださっているのです」

-我々の運動も内部に大きな問題を抱えております。本来なら団結すべきところでそれが上手く行かず、為に強力な態勢が整いません。何とかそれを改善するよい方法はないかというのが私の大きな関心事なのですが、何かよいコメントを頂けますでしょうか。

 「団結というのはそう簡単に成就出来ないものです。命令によって強制出来る性質のものではありません。理解力の発達と共に徐々に達成して行く他はありません。問題は、人類の一人一人が知的にも道徳的にも霊的にも異なった発達段階にあることです。一つの共通した尺度というものがないのです。あなた方の仕事においてさえも、各自の霊的進化のレベルが異なるという、その単純な事実に由来する衝突が沢山あります。
 霊的覚醒というのは霊性の進化と共に深まるものです。となると、あなたが高級霊との一体関係を確立しても、あなたと同じ発達段階に到達していない者がそれに参加することが出来ないのは明白なことです。従ってあなたはあなたとして活用しうる限りの手段を駆使して最大限の成果を挙げることに努力するしかないわけです。
 この問題は私達霊界の者にとっても無縁の問題ではありません。私達も常に同じ問題に直面しているからです。私達は地上の人間を道具として仕事をするのですが、その中には霊界側として期待している水準にまで達しない者がいます。しかし、それはそれとして最善を尽くすしかないのです。
 そうした事情の下でも、光明が次第に広がりつつあることに皆さんもいずれ気付かれる筈です。大切なことは、この度のように伝統も環境も異なる世界各地から、言語も考えも異なる代表が一堂に会する機会をもつことです。その場で、例えば他の国での成果を知って、それを後れている国の人がよい刺激とすることが出来ます。
 案ずることはありません。あなた方は自分なりの最善を尽くせばよいのです。もうこれ以上は出来ないというところまで努力したら、それ以上はムキにならず、後は私達に任せる気持におなりなさい。人間は自分に出来る限りの努力をしていればよいのです。それ以上のことは要求しません」

-でも、何かよい秘訣のようなものはありませんか。

 「真理を理解するということ以外に秘訣はありません。例えば再生の問題は人間には解決出来ない難問の一つです。人間は直ぐに〝証拠〟に拘りますが、再生は証拠によって確信が得られる性質のものではありません。証拠などといっても、ただの用語に過ぎません。確信というのは内部から湧き出て来るものです。魂に受け入れ準備が整えば理解がいきます。その理解こそ大切で、それが唯一の確信です。科学は刻一刻と変わって行き、その領域を広げつつあります。知識というものは固定したものではありません。一方、確信というのは真理と遭遇した時に湧き出る内的な悟りです。
 この再生に関しては地上では、当分の間、意見の一致は見られないでしょう。理解した人にとっては至って単純なことであり、容易に納得がいきます。一方、理解出来ない人にとっては、ひどく難しく思えるものです。ですから、忍耐強く待つことです。意見の一致が得られないからといって組織が潰れるわけではありません。
 何につけ、議論することは結構なことです。意見が衝突することは結構なことです。自然は真空を嫌うと言います。惰性は自然の摂理に反します。作用と反作用は正反対であると同時に相等しいものであり、同じエネルギーの構成要素です。立ち止まってはいけません。大いに議論し討論し合うことです。沸騰した議論が収まった時、その壺の中から真実が姿を現すことでしょう」

-再生について今ここで語って頂けませんか。

 「実は私自らが、皆さん方が体験しておられる難しさを味わっております。私は再生を認めておりますが、このバーバネルは認めようとしません(注)。自分の道具すら説得出来ないでいて、他の人を説得出来るわけがないでしょう」(注-これはシルバーバーチとバーバネルとが別人であることの証拠としてよく話題にされたものであるが、晩年はバーバネルも得心していた。尚このコペンハーゲンでの交霊会がいつ行なわれたかは記されていない-訳者)

-事実か事実でないかだけでも仰って頂けませんか。

 「得心した人にとっては事実です。得心しない人にとっては事実ではありません」(真理の本質をついた名答というべきであるが、それにしてもなぜ要求にまともに応じなかったのか。私が思うに再生問題はスピリチュアリストの間でも異論の多い問題で、肯定派の中にさえ様々な再生論があって、ここでシルバーバーチが一方的に述べることはISFの内部に余計な波風を立てることになることを案じたのであろう-訳者)

-異なった信仰に対する態度はどうあるべきでしょうか。我々に信仰を押し付けようとする者に対して寛大であるべきでしょうか。それとも我が道を行くの態度で相手にしない方がよろしいのでしょうか。私の考えではスピリチュアリズムはキリスト教に対してその活動については寛大でありつつも、スピリチュアリズムの霊的真理そのものは浸透させて行くべきだと思うのです。真実の信仰に欠ける者にスピリチュアリストが正しい宗教性を飢え付けて行くべきだと考えます。

 「スピリチュアリズム、スピリチュアリズムと仰っても、それはただの用語に過ぎません。私達は用語には関心はありません。用語とは概念や実在を包む為の道具に過ぎません。私達の関心は霊力、神の力-私はそれを大霊と呼んでいるのですが-それが地上に根付くことです。どこでもよいのです。それが私達の努力の背後の目的です。
 なぜ霊力を根付かせようとするのか。それは、霊力には魂に感動をもたらし、真の生命に目覚めさせる力があるからです。どこであってもよいのです。教会の中であっても、外であっても、家庭内でもいいのです。目的とするのは一人一人の魂です。
 物的惰眠から目覚める段階まで来た魂は、あなたの行動範囲に自らやって来るか、或いはあなたの方から訪れて、霊の種が蒔かれることになります。そのように導かれるのです。それでもし失敗したら、密かに涙を流してあげなさい。自分の為にでなくその人の為にです。その人は絶好のチャンスを目の前にしながら、それを捉え損ねたのです。
 しかし、そうこうしている内に、そこかしこに種の根付き易い魂がいることが分かります。やがて芽を出し、花を咲かせ、急速に美しさと優雅さとを増していきます。その種に神性が宿されているからです。かくしてその魂は真の自我を発揮し始めたことになります。
 地上生活のそもそもの目的は人間が身体的・精神的・霊的の全側面を活用して生活することであり、その三つの側面が機能するに至るまでは本当の意味で生きているとは言えません。身体と精神のみで生きている間は影と幻を追い求め、実在に気付かずにおります。霊的自我が目覚めて初めて、驚異的な霊的可能性と冒険への扉が開かれます。地上という物質の世界へ生まれて来たのは、その霊的自我を開発する為です。
 ですから、その目覚めがどこで生じるかは重要ではありません。重要なのは魂が目を覚ますということ、そのことです。地上生活に悩みと苦しみが絶えないのはその為です。悩み苦しみ抜いた末に、最早物的なものでは救いにならないと観念した時に、霊的なものへ目を向ける用意が出来たことになります。
 〝風は気ままに吹く〟(ヨハネ)と言います。真理の風をどこにでも気ままに吹かせればよいのです。受け入れる用意のある魂に当たった時に存分に力になってあげることです」

-霊媒現象とスピリチュアリズムの活動のあり方をこれからどう改めて行くべきかについて何かアドバイスを頂けますか。

 「常に新しい側面が台頭しています。物理的心霊現象がおもむろに後退し、心霊治療と霊的教訓という高等な側面がそれと取って代わりつつあります。地上の人間の進化のサイクルが変わりつつあるからです。あなた方は霊的に導かれるままに進まれるがよろしい。霊的進歩には型にはまった様式はありません。今日まで導いて来てくれた力を信じて一身を預けることです。その力こそ、地上のあらゆる物的財産に勝る珠玉の知識をもたらしてくれた力です。ひたすらに前向きに歩まれることです。どこにいても最善のものを施すことです。必ずや導かれ、援助を受けます」

-私は南アフリカの様々な言語集団と霊界との繋がりに関心をもっている者ですが、霊界にはこうした集団との接触において使用するバイブレーションの調整システムのようなものがあるのでしょうか。

 「それは問題を抱えている国の人達が自らの力で処理すべきことです。言語というのは思想・思念・想像、その他、内的な実在の諸相を表現する為の人工的手段に過ぎません。実在を適確に表現する言語は、いくら考えても見つかりません。要は魂に訴える為に最善を尽くすことです。感動を与えるのです。悲しんでいる人を慰め悩んでいる人の心を癒すようなメッセージを届けて、魂を目覚めさせるのです。その魂に受け入れる用意があれば、きっと成果が出ます。受け入れる用意がなければ何の成果も出ません。
 こうした問題には楽な解決策はありません。試行錯誤が殆どです。私達とて完全ではないのです。霊的交信、霊力の扱い方、霊媒の成長と進化に伴う各種エネルギーの調整の仕方について、絶え間なく新しいテクニックを開発しております。固定した形式があるわけではありません。全てが流動的です。なぜかと言えば、霊そのものが無限であり、従って無限の顕現の可能性を秘めているからです。
 ご質問に対してご期待に沿った答えにならなくて申し訳ありませんが、私としては以上のようなお答えしか出来ません」

-一般世間への普及活動において私達は何か大きな間違いを犯していないでしょうか。もし犯していたらご教示をお願いしたいのですが・・・・

 「もしもあなたが何一つ間違いを犯さない人だったら、あなたは今この地上にはいらっしゃらない筈です。間違いを犯す人間だから地上に来ているのです。しくじってはそこから教訓を学ぶのです。もしもしくじらない程完全な人間だったら、物質界に生まれて来る必要はありません。勉強の為に地上へ来ているのです。しくじっては学ぶ-それが進化の法則の一環なのです。しかも進化はどこかでお終いとなるものではなく、限りなく続く営みなのです。その目的は完全性の成就です。が、その完全性が又無限の性質のものであり、いつまで経っても成就出来ないのです。完全を成就しているのは大霊のみです。無限なる愛と無限なる叡智の権化なのです。
 完全性が増せば増す程、更にその先に成就すべき完全性があることに気付きます。これが完全、という静止した状態ではありません。進化の法則はありとあらゆる段階を通じて働いており、それらが全て連動しているのです。人類の身体上の進化も、地上の科学者がどう言おうと、まだ終わったわけではありません。まだまだこれから開発されるべき表現形態があります。同様に、精神的並びに霊的進化も、この地上にあってさえ、三位一体の部分的側面として、到達すべき段階に至るにはまだまだ前途遼遠です。
 要するに進化とは地上においても全宇宙においても無限の過程であり、そのこと自体が宇宙の全機構を案出した無限の知性の存在の証明であることを認識してください。その知性が絶対に誤まることのない法則によって統治し、ありとあらゆる側面を導き、支え、そして規制しているのです。
 我々はその愛と法則と叡智の機構の中に存在しているのです。間違いを恐れてはいけません。そこから学び、刻一刻と霊的に成長していくのです」