○多神教についてですが、これは間違いなのですが、しかし古来広く行きわたった信仰の一つとなっています。どう考えたらよろしいですか。
「一神という観念は、人間の観念の発展の結果、初めて到達されたものである。未開の時代は、形なしでは、非物質的存在を知ることが出来ない、そこで人間は大自然界の諸特性を、姿をもち顔をもつ「神」というふうなものに結び付けた。かくして人間知性を超えるものは何でも神様、人間に理解できないものは何でも超常力の仕業、このように祭り上げられてしまった。この発想から、人間が見ても説明出来ないものは、その数程の別個の存在があるとの信仰に到達した。これが第一歩である。しかし、いつの時代にも秀れた人物はいるもので、彼等は多神では世界のことは理解出来ない、全てを統轄する方向がなければならない、かように考えた。こうして一神の概念に辿り着いたのである」

○霊の働きを示す現象はいつの時代も起こっており、早くよりそのことは知られていたと思います。この事が多神教の信仰の起縁になっていませんか。
「その通りである。人間は神という言葉を、人間を超えるものの何にでも適用する。従って、霊は人間にとり多くの神々であった。この理由で、ある人間が、その働きや天分、または風俗に理解できぬ超能力をもっていると、神に祭り上げられ、死後は神として礼拝された」