○霊は私共の思想や行為に影響を与えますか。
「その影響は諸君が想像するより大きい。諸君の思想も行為も、これを動かしているのは霊達であるから」

○私共は、自分自身から生まれる思想と、他より伝えられる別の思想とをもつのですか。
「諸君の魂は、思考する霊である。諸君等はこれまでに、同じ問題についても、多くの思想が、時としては丸反対の思想が同時に起こることも知っておろう。その場合、そのあるものは諸君自身のものだし、あるものは我々霊のものである。これが諸君等をためらわせる、諸君等はこのように心中に互いに相対立する二つの観念をもつものであるから」

○どうしたら自分の思想と、外部から受取った思想を見分けられますか。
「外部から思想が来る時は、囁きかける、声のような具合にである。自分の思想の場合は、先ず心内に湧き起こるものである。実は、この区別は諸君等に、実際上は重要ではない。区別できないことの方が諸君の為に良いことが多い。これにより、人間の行動は大いに自由になるわけだ。もし正しい道を選べば、いっそう自発性を発揮することになり、誤った道を選べば、はっきり自分の誤りの責任となるから」

○知的な人や天才は、常に自分の心中から、その観念を引き出しているのですか。
「その観念は本人の霊から湧くこともあるが、他の霊から来ることもしばしばある。その場合、霊の方は、その観念を本人が理解できること、それを伝えるに値することをちゃんと判断して伝える。求める着想が自分の中に無ければ、彼等は無意識でインスピレーションを求める。即ち自分では気付かずに、一種の口寄せを求める」

○思想は最初の発想が最も善い、と言われますが、本当ですか。
「当人の霊の性質いかんで、善もであり、悪のこともある。大事なことは、良いインスピレーションに常に耳を傾けることである」

○囁かれた思想が善霊から来たのか、邪霊から来たのか、これを確かめる方法がありますか。
「その性質で見極めなさい。善霊は常に良い助言を与えるもの、この善か悪かを見極めるのはあなたである」

○未熟霊はどんな目的で、私共を悪に誘うのですか。
「自分等と同じ災いに諸君等を陥れようとしてである」
-それによって、彼等の苦しみが減るのですか。
「いや、彼等は自分達より幸福な者への嫉妬心からそうするのである」
-彼等はどんな災いを私共に与えようと思うのですか。
「下劣な者達、神からずっと隔たった者達がもたらす、そういう災いである」

○神はなぜ、霊達が私共に悪へ誘うのを許し給うのですか。
「人の信と善への節操を試みる手段として、未熟霊が使われる。諸君、霊である者達は、無限なるものへの知を深めねばならない。善に至る為には、諸君は悪の試練を通らねばならない、この目的の為である。我等の使命は諸君等を正道に導くことにある。もし諸君が悪の影響に踊らされるなら、それは諸君等の自らの意志によって邪悪霊を呼び寄せたのである。何となれば、邪悪霊共は諸君等の望む通りに、悪の手助けをしようと常に待ち構えているのであるから。諸君の方で悪の道を希望する時のみ、彼等は諸君の為に悪の手助けが出来るのである。もし貴方が殺人したい気持をもてば、あなたの周りには、この希望を実現させてやりたいと、待ち構えている霊魂がひしめいているのである。同じく、あなたの周りには、あなたを善へと誘おうとしている諸霊も取り巻いている。これでバランスが取れるのであり、決断はあなたに託されている」

○私共は、悪に誘おうとする霊達の影響を受けないように出来ますか。
「出来る。彼等が近付く人間というのは、本人の思想や欲求の中に、彼等を引き付ける悪い性質があるからである」

○私達が反発すれば、彼等は誘惑が出来ないので、諦めますか。
「その外に何が出来るか。目的が達成できないと見てとれば、彼等は諦める。しかし、彼等は虎視眈々とチャンスを狙っている。猫が鼠を狙う具合に」

○邪霊の影響を骨抜きにする方法は何ですか。
「正しい事を為すこと、全き信を神に置くこと。これによって邪霊の影響は撥ねつけられ、その力が諸君に及ぶことはない。悪い思想を唆すもの、不調和な気持を起させるもの、邪悪な感情を刺激するもの、かような霊の囁きに一切耳を傾けぬ注意が肝心。特に諸君に媚びへつらう者を信用してはいけない。と申すのは、このへつらいによって、彼等は諸君の弱点を突いてくるのである。イエスが主の祈りで、諸君等に言わせている理由はこれである[私共が誘惑に負けぬよう、私共を誘惑から救い出し給え]と」

○私共を悪に誘い、私共の心を試そうとする霊達は、そういう使命を受けているのですか。またもしそうならば、彼等にはその責任があるということですか。
「悪へ誘う使命を受けている霊などは存在しない。彼等がそうするのは自分の意志でそうするのであり、従って、その悪業の結果は自分に返って来る。神は彼等の悪の業を許し給う。しかし神がそれを命じられたわけではない、これを撥ねつけるのは諸君である」

○私共はこれという原因もなしに、理由のない不安感、動揺、または内心の満足感を感じることがあります。あれは身体の状態からそうなるのですか。
「その多くは、諸君の周りにいる霊魂との、無意識の交流によって起こるのである。また、睡眠中にその交流がなされることもある」

○霊が私共を悪に誘うのは、私共のもっている状況をうまく利用してそうするのですか。それとも、霊が自分で都合のよい状況を作り出してそうするのですか。
「それは都合のよいチャンスを見付けてそうするのだが、彼等自身で作り出すこともよくある。つまり本人が気づかなくても、本人の欲望に沿って囁きかける方法で。例えば、路傍で一束の紙幣を拾うとする、この金は霊がそこへ置いたと思ってはいけない。しかし、霊はそこを通るように本人に囁きかけるかもしれないのだ。本人がこの金を見つける、すると霊はこれを着服するように本人に囁く。他方、落とし主に返せという声も聞こえる。試練は全てこのように行われる」