○夢遊病と没我状態(トランス)との相違は何ですか。
「没我状態は上等の夢遊病というところである。没我状態下では、魂は一層独立したものとなっている」

○恍惚状態(エクスタシー)下の魂は、高級の世界に入っているわけですか。
「その通り。彼はその高い世界を見ている、その高い世界の住人達の喜びを受感している。しかし、霊が十二分に浄化していなければ、なお入っていけない高い世界がある」

○没我状態下の人が、地上を離れたい希望を示す時は、本気でそう言っているのですか、自己保存の本能からそうなるのですか。
「それは霊の浄化程度による。もし、本人が未来の状況が現在より良いことを見てとれば、自分を地上に繋いでいる紐を破る努力をするだろう」

○恍惚状態下の人をそのままにしておけば、魂は完全に肉体から離れてしまいますか。
「左様、死ぬかもしれない。従って、地上に繋ぎ止める為のあらゆる方法で本人を呼び戻さねばならない。なかんずく本人に次のことを分からせる必要がある、自分を地上に繋ぎ止めている鎖を断つことは、もしかしたら幸せになれるかもしれない世界との接触を、自分の手で切断することになるということを」

○恍惚状態下の者が、時に次のように申します。自分には、地上特有の思想や偏見にまみれた想像の産物か見えると。ということは、彼に見えるのは真実のものばかりとは限らぬということですか。
「本人にとっては真実なものである。ただ本人の霊は常に地上的観念の影響下にあるから、その方向でものを見るわけである。もっと正確に言えば、本人の偏見通りの、本人が身に付けた観念通りの、本人好みの言葉で表現しているということである」

○没我状態下の人の啓示は、どの程度信用できますか。
「間違いは大変多い。特に神秘的な問題に首を突っ込んだ時に多い。本人が自分の考えに酔ってしまったり、或いは欺瞞霊の玩具にされて、本人の熱心さを利用し、インチキ通信を押し付けられたりする」

○夢遊状況や没我状況下の現象は、結局のところ何と考えたらよろしいですか。未来生命への門と考えてはいけませんか。
「次のように言えばより正確になろう。夢遊病者はこの状況下で、自分の過去・未来の生活をチラリと見るかもしれない。これらの現象を研究してみなされ。理屈では入っていけない一個の神秘などより、更に多くのものの解釈に役立つだろう」

○夢遊病や没我状況下の現象は、唯物論と一致しますか。
「この現象を誠実に先入見なしに研究する者は、唯物論者にも無神論者にもなる筈がない」