○肉体を去った霊はすぐ再生するのですか。
「すぐ再生するものもあるが、多くは大なり小なり一定の期間をおいて後再生する。高級の天体では、一般に再生がすぐ行われる。高級天体の物質は低次の天体の物質に比しずっと精妙だから、そこで肉体をもって生活していても、霊的能力は大体維持している。彼等の常態は諸君等の高度な神憑状態にある」

○再生までの間、魂はどうなっていますか。
「彼等は新しい運命に憧れて、遍歴する霊となる。それは待つ者、期待している者という状況である」
-その期間はどの位続きますか。
「それは数時間から数千年まで。厳密に言うと、その期間には一定の制限というものはなく、場合によっては、永い間延長されることもある。しかし永久ということはない。晩かれ早かれ、霊は前世の浄化に最も効果的な次の新生を始めることが出来る」
-この遍歴継続期間は、霊の意志に基づくのですか。それとも、罪滅ぼしとして課されるのですか。
「これは霊の自由意志の結果である。霊は十分な分別をもって行動する。しかし、場合によって期間が長いのは、神により課せられる罰である。それ以外の場合は、自由意志により自ら延長しているのであって、この期間中、霊のままで出来る限りの有効な修業をする為である」

○すると遍歴するのは、霊に未熟な点があるしるしですか。
「いや、遍歴する霊には色々な段階の霊がいる。前にも述べたが肉体をとる方が過渡的な状態で、霊の本来の姿とは、物質から離れている状況の方である」

○肉体をまとっていない霊は、すべて遍歴していると言うことは正しいのですか。
「そうだ、再生しなければならない霊の場合は、その通りである。但し、完全に達した清浄霊の場合は遍歴しない。彼等はそれで最終の状態である」
〔注解〕霊にはそれぞれの資質というものがあって、順次辿る進化の過程により、段階が存在する。それを状態の上から見ると、次の三種である。①受肉霊、即ち、肉体をまとっている霊。②遍歴霊、肉体をまとわず、進歩の為に次の再生を待っている霊。③清浄霊、即ち、完全に到達し、もはや再生を必要としない霊。

○遍歴霊はどのようにして学習をしますか。それは人間とはやり方が違うでしょうね。
「彼等は自己の過去を検討して、更に進歩への道を探る。眼前に展開する諸事情を観察する。優れた人の話や上級の霊の助言に耳を傾ける。こうして新しい観念を獲得する」

○霊にも人間的な友情がありますか。
「高級霊は、肉体を去る時、人間のもつ悪い感情の面を捨て去り、善い愛のみを残している。だが未熟な霊は、地上的な欠陥を色々残している。そうでなければ高級霊ということになろう」

○地上を去る時、霊が悪い感情を捨ててしまわないのは何故ですか。彼等は、悪い感情が不幸を生むことを、その時には分かる筈ですから。
「人間の中には、例えば、極度に嫉妬深い人達がいる。諸君はこういう人々が、死とともに、たちまちその欠点を失うと思うか。地上を去って後、霊には、特に感情的な霊の場合には、過去の悪感情を保持する一種の雰囲気が残る。つまり、彼等は完全に物質の影響から離れたわけではないのだから。彼等は、これから先自分が辿るべき、真理の道の閃きを感じることは滅多にない」

○遍歴の状況下にあって、霊は進歩しますか。
「改善の努力その熱意に比例して、大きな進歩を遂げる。但し、ここで獲得した観念を実践に移すのは、地上世界においてである」

○遍歴霊というのは、幸福ですかそれとも不幸ですか。
「それは本人次第である。感情的なものが多ければ苦しみ多く、物質的なものから離れていれば、それに応じて幸福を感じる。遍歴の状況下で、霊はどうしたら幸福になれるかと、自分に欠けているものを身に付けたいと熱望する。しかし、再生したいと望んでも必ずしも直ぐ出来るわけではないので、遍歴の状態が永びくことその事が、彼等の罰となる」

○遍歴霊は、どんな天体にでも入ることが出来るのですか。
「それは本人の進歩の程度いかんによる。霊は肉体を去った時、必ずしも物質と無関係になったわけではなくて、今迄住んでいた天体、ないしはそれと同程度の天体に所属しているわけである。もし地上生活で、もっと高い世界の段階にまで進歩していなければである。このような進歩こそ、あらゆる霊の不変の目的である。それなしでは、完全に到達することは不可能だから。しかしながら、より高級の天体に霊が入ってみることもある。だがこの場合には、彼にその天体は未だ肌に合わないように感じられる。彼はいわば、未だその天体がほんの覗き見が出来る程度なのである。だがこれによって、彼の改善と進歩への熱意はしばしば進められ、これによって、彼は現在の遍歴の時代を有効に過ごし、やがてはその天体に住めるようになるのである」

○既に浄化している霊が、低い段階の天体へ行くことがありますか。
「その天体の進歩を助ける為に、頻繁に彼等は行く。もしそれがなければ、これらの天体に指導者もないままに、低い段階に止まったままになるだろう」