-我々は[神の分霊]だそうですが、その至尊至高の大霊へ向けて進化して行くのが目的であるならば、なぜ[分かれた]のでしょうか。つまり、もともと一つであったものがなぜ分離して、再び大霊に帰一することを目的にしてこの地上界に生まれくるのでしょうか。

「そのご質問は、この私にではなく大霊に聞いて頂きたいですね」と冗談ぽく言ってから、改まった口調でこう述べた。
「なかなかいい質問なのですが、残念ながらその疑問は、根本的な誤解ないし誤認から生じております。あなたが大霊と[一体であった]というとき、それは大霊という唯一絶対の始源から出ているという意味であって、同じ意味で、すべての生命、すべての個的存在、生きとし生けるものすべてが、本質において一つであると言えます。
 [あなた]という個的存在は、最初から、つまり大霊と一体であった時から今の[あなた]だったわけではありません。表現の媒体を得て初めて[あなた]という個性をもった存在となったのです。その目的は内部の神性を顕現させるためです。内部に宿る神性は完璧です。が、それは種子が土とか水といった養分を得て発芽し、生長し、花を咲かせるように、顕現という活動を経て初めて、その美しさ、その輝きを外部へ発揮することになるのです。
 地上的な形態での存在の目的もそこにあります。すやわち物的身体に植えつけられた神性の種子が発芽と生長と成熟の過程を体験するためです。その地上生活特有の体験によって、死後に訪れる、次の段階の生活に必要な資質と能力を身に付けるのです」

別のメンバー-今の質問にはもう一つの意味も含まれていると思うのです。つまり、そうした個的生命も最後は大霊の中に吸収され没入してしまうのかということです。

「それはその通りです。が、いわゆるニルバーナ(涅槃)に入るというのとは違います。個的存在が消えてなくなる時は永久に来ません。反対に、完璧に近付くほど、ますます個性が顕著になっていきます」

-小川が大海に流れ込むようなものでしょうか。

「それは違います。小川が大海へ流れ込めば、その小川は消滅してしまいます。あなたという存在は、どこまでいっても個としての存在を失うことはありません。パーソナリティ(地上時代の性格)は変わります。特徴や性癖もなくなります。が、個的存在としての顕現は永遠に続きます。成長と発達に限界というものはあり得ません。個性が発達するほど、それだけ大霊との調和が進みます。霊性が発揮されるほど、その霊的始源に近付くからです」

続いて、生まれた時から視力に障害のある女性からの質問(投書)が幾つか読み上げられた。

 次章(霊界との交信には条件が必要)へ続く