-心霊治療のプロセスについてご説明願えませんか。

「生み出す結果は驚異的でも、技術的には極めて単純です。患者がいて、治療家がいて、大霊がいます。その大霊の生命力である治癒エネルギーが治療家の霊的能力を通して患者の霊体に届けられる-それだけのことです。
 本質的にはそれが全てです。神秘もなければ魔法もありません。自然法則の働きがあるだけです。ただ、治癒エネルギーには無限の可能性があるということです。その治癒エネルギーの流入を規制するものは何かといえば、治療家の資質、その治療家が到達した霊的進化の程度です。霊性が高ければ高いほど、それだけ受容力も高まります。
 もしも治療家が完全の域に達することが出来れば、治癒エネルギーも最高のものが届けられる理屈になります。が、完全というものは不可能ですから、実際には治癒エネルギーは治療家の霊性によって制約を受け、限定され、影響を受けることになります。
 治療家というチャンネルないしはパイプ-どうお呼びになっても結構です-は所詮は思考力をもった人間であり、身体と精神と霊の相関関係で出来上がった複雑極まる存在ですから、それを出入りするエネルギーは、そうした人間性の影響をどうしても受けます。
 治療家はその人間性を極力控え、日常生活においても霊性を高めるように心掛ければ、流入するエネルギーの量も多くなり、それだけ良い結果が得られるようになります。
 治療エネルギーは生命力そのものです。従って治療家は崇高な宇宙の生命力を扱っていることになるのです。私が邪悪な動機の為にその生命力を汚すようなことにならないようにと戒めるのは、そこに理由があるのです」

-治療家が患者に対して個人的に特殊な感情を抱くのはいかがでしょうか。

「それはいけません。霊力の中継者である治療家が個人的感情に動かされると、霊力の流入が阻害されます。通路は常に無垢の状態でないといけません。少しでも多くの霊力が流入するようにとの祈り以外のものがあってはなりません。あくまでも道具なのですから、自分勝手な考えを差し挟むことは許されません。霊力の流れの通路であること、それが治療家の仕事です。
 ところで、地上の医学者の診断を最終的なものと思ってはいけません。彼らなりの体験と勉強に基づいて結論を述べるのでしょうが、それを[不可謬]と信じてはなりません。
 全ての望みが絶たれた時でも、霊力はその驚異的な回復力によって、全快とまではいかなくても、病気を改善することが出来ます。現代医学とは根本的に観点が異なります。地上の医学者は人間を肉体のみの存在として、物的観点から処理します。一方、私達は基本的には霊的観点から人間を見ます。霊が正常であれば精神も正常であり、従って肉体も正常となります。その反対ではないのです。つまり肉体が正常になれば精神も霊も正常になるというものではないのです。霊が全てを統率しています。
 しかしその霊も、いつかは肉体から離れる時がまいります。皆さんはそれを[死]と呼んでおられます。死は本来は病気とか苦痛の中で迎えるべきものではありません。静かで安らかな雰囲気の中で迎えるべきものです。間違った生活環境は精神と霊と肉体の調和を乱し、それが霊のスムーズな撤退を妨げます。
 肉体の病的状態が治癒不可能な状態に至れば、霊は撤退せざるを得なくなりますが、その撤退をスムーズにしてあげるのも治療家の役目です。普通なら苦痛が大きく、しかも時間が長引くケースを、治療家は楽に、そして短時間で終らせるようにしてあげることができます。
 あなた方人間にとって死は相変わらず恐ろしく、そして怖く、出来ることなら死にたくないと思われるようですが、それは間違った考えです。私達から見れば、死は霊の誕生なのです」

-ということは、哀れみの情を抱くのは間違いだということになるのでしょうか。

「それは違います。哀れみは霊の属性です。哀れみ・慈悲・思いやり-こうしたものは人を癒してあげたり手を差し伸べてあげようとする欲求を鼓舞します。私心から発した偏った哀れみではなく、苦しみを背負った人全てに対する哀れみでないといけません」

-そこのところは私にもよく分かります。治療家が個人的に負担を感じて、その挙句に治療が失敗した場合、自分の力が及ばなかったが故の失敗だと受け止めてしまう可能性があります。

「今あなたは[治療が失敗した場合]と仰いましたが、その意味が私には解せませんが・・・・」

-患者が良くならなかった場合のことです。

「それを治療の失敗というのは間違いです。その患者は色んな次元での摂理に反したことをしてきて今その症状が表れている。それがあなたの治療によって消えなかったということで、それは治療の失敗ではありません。まだ身体が正常になる段階に至っていないということです」

-でも、治療家が自分で勝手なことをしたり、余計な思いを抱いたりして失敗するということは有り得るとは思われませんか。

「でしたら、それは治療家の失敗です。あなたのご質問は治療そのものが失敗したと仰りたいのでしょうけど、治療が失敗することはありません。治療家がヘマをすることはありますが・・・・」