バイブルには霊的能力に関する言葉が色々と出ている。特にコリント前書のパウロの言葉は有名である。十二章の冒頭から抜粋すると-
《霊的能力についてよく知っておいて欲しい。
 能力は色々あっても、全ては同じ霊力の顕現したものである。
 それは森羅万象が一つの神の御業であるのと同じである。
 一人ひとりが他の人を益する為に、霊力を賜っている。
 ある者は叡知を賜り、ある者は知識を賜っている。
 ある者には信仰の力が与えられ、ある者には病気治療の力が与えられている。
 ある者には奇跡を起こす力が、ある者には予知能力が、そして又、ある者には霊を見分ける眼力が与えられている。
 言語能力に優れている者もいるし、翻訳する能力に長けている者もいる。
 が、いずれも同じ霊力の働きなのである》

 ある日の交霊会で、霊媒が果たしている役割が話題となった。そのきっかけは、シルバーバーチが霊媒のバーバネルがトランス状態から睡眠状態へ移りそうなので、コントロールがしにくくなったと述べたことにある。そして「そうなると私にとってまずいのです」と言ったので、サークルのメンバーの一人が「なぜですか」と訊ねた。
すると-
「私はこの霊媒の身体を調節している機能の全体をコントロールしなければならないのです」

-霊媒が眠ってしまうとコントロール出来ないのですか。

「出来ません。身体を操るには潜在意識を使用しなければならないのですが、眠ってしまうと潜在意識が活動を停止します」

-でも、どっちにせよ、霊媒はその身体から出るのではないでしょうか。

「いえ、霊媒自身が身体の中にいるか外にいるかの問題ではありません。潜在意識とその機能の問題であり、それは、中でもなく外でもありません」

-私は、霊媒は脇へ押しやられていると思っていました・・・・

「それはそうなのですが、一時的に身体からは離れているというだけのことです。それは、霊媒が自ら進んで身を任せている状態で、潜在意識まで引っ込めてしまうのではありません。そうなると睡眠状態になってしまいます。
 霊媒現象は全て霊界と地上界との意識的な協力関係で行われます。無意識の内に潜在能力が一時的に使用されるケースがないわけではありませんが、支配霊と霊媒という関係で本格的な霊的交信の仕事をするとなると、その関係は意識的なものでなければなりません。つまり霊媒現象に関係するあらゆる機構に、霊媒が進んで参加することが必要となります」

-睡眠中の霊媒が使用されて通信が届けられたケースがあったように思いますが・・・

「そういうことがあったかも知れませんが、それは通常のプロセスが逆転した状態です」

-その場合、睡眠中にそういう形で使用されることを、霊媒自身も同意していたということが考えられますか。

「それは考えられます。ただ、ご承知のように、私達は霊媒の望みはよほどつまらないものでない限りは敬意を払い、しかるべき処置を取ります。しかし、言うまでもなくこの身体は私達の所有物ではありません。モーリス・バーバネルのものです。こうして私達が少しの間お借りすることを許してくれれば結構なことであり、有り難いことですが、その許可もなしに勝手に使用することは道義に反します。その身体を通して働く様々な霊的エネルギーに対して霊媒と私達の双方が敬意を払った上で、気持ちよく明け渡すというのが正しい在り方です」

その潜在意識がどのように使用されるかについて聞かれて-
「そのことに関して、随分誤解があるようです。精神には様々な機能があります。人間というのは、自我意識を表現している存在といってよろしい。意識が全てです。意識そのものが[個]としての存在であり、[個]としての存在とは意識のことです。意識のあるところには必ず[個としての霊]が存在し、[個としての霊]が存在するところには必ず意識が存在します。
 しかし、この物質界においては、自我の全てを意識することは出来ません。なぜなら-あなた方に分かり易い言い方をすれば-自我を表現しようとしている肉体[脳]よりも、本来の自我の方が遙かに大きいからです。小は大を兼ねることが出来ません。弱小なるものは強大なるものを収容することが出来ないのが道理です(注)。

(注 物質という形あるものに包まれた生活に馴れ切っている人間には、意識とか自我といった、形のないものを想像することは出来ない。従って[大きい]とか[小さい]とかの形容で説明するのは適当ではないのであるが、地上の人間にはそれ以外に説明のしようがない。それは、太陽は昇ったり沈んだりしているわけではないのに、やはり[東から昇り西に沈む]という表現しか出来ないのと同じであろう。それでシルバーバーチは[あなた方に分かり易い言い方をすれば]と断ったわけで、実際は、自我とか意識は、脳を通じての思考では絶対に理解できない存在である-訳者)

 人間は、地上生活を通じて、その大きな自我のホンの一部しか表現していません。大きい自我は、死んでこちらへ来てから自覚するようになります。といって、死後直ちに全部を意識するようになるのではありません。やはりこちらでの生活で、それなりの身体を通して、霊的進化と共に少しずつ意識を広げていくことになります。
 意識的生活のディレクターであり、個的生活の管理人である精神は、肉体的機能の全てを意識的に操作しているわけではありません。日常生活において必要な機能の多くは、自動的であり機械的です。筋肉・神経・細胞・繊維等が一旦意識的指令を受け、更に連係的に働くことを覚えたら、その後の繰り返し作業は潜在意識に委託されます。
 例えば物を食べる時、皆さんは無意識の内に口を開けています。それは、顎が動く前に、それに関連した神経やエネルギーの相互作用があったことを意味します。すなわち、精神の媒体である脳から神経的刺激が送られ、それから口を開け物を入れ、そして噛むという一連の操作が行われています。全てが自動的に行われます。一口ごとに意識的にやっているわけではありません。無意識の内にやっております。潜在意識がやってくれているのです。赤ん坊の時は、その一つ一つを意識的にやりながら記憶していかねばなりませんでした。しかし今は、一々考えずに、純粋に機械的にやっております。
 このように、皆さんの身体の機能、そして、かなりの程度まで精神的機能も、大部分が潜在意識に委託されていることがお分かりでしょう。潜在意識というのは、言わば顕在意識の地下領域に相当します。例えば皆さんが本を読んでいる途中で、これはどういうことだろうと自問すると、即座に答えが閃くことがあります。それは潜在意識が普段から顕在意識の思考パターンを知っているので、それに沿って答えを出すからです。誰かの話を聞いている時でも同じです。[あなたはどう思われますか]と不意に聞かれても、即座に潜在意識が返事を用意してくれます。
 ところが、日常的体験の枠から外れた問題に直面すると、潜在意識が体験したことも解決したこともないことですので、そこに新たな意思的操作が必要となります。新しい回線が必要となるわけです。
 しかし、そうした例外ともいうべきオリジナルな思考-という言い方が適切かどうかは別として-を必要とする場合を除いて、人間の日常生活の大部分は、潜在意識によって営まれております。潜在意識は倉庫の管理人のようなものです。あらゆる記憶を管理し、生きる為の操作の大半をコントロールしています。その意味で人間の最も大切な部分ということが出来ます。
 その原理から霊媒現象を考えれば、これは、それまで身体機能を通して表現してきた自分とは別の知的存在が代わって操作する現象ですから、顕在意識の命令に従って機能することに慣れている潜在意識を操作する方が楽であるに決まっています。命令を受けることに慣れているわけです。仕事を割り当てられ、それを、よほどのことがない限り中断することなく実行することに慣れております。
 霊媒現象の殆ど全部に霊媒の潜在意識が使用されております。その中に霊媒の人物の本当の姿があるからです。倉庫とも言うべき潜在意識の中に、その人物のあらゆる側面が仕舞い込まれているのです。こうした現象において支配霊が絶対に避けなければならないことは、支配の仕方が一方的すぎて、霊媒が普段の生活で行っている顕在意識と潜在意識の自動的連係操作が、いつものパターン通りに行かなくなってしまうことです。その連係パターンこそが、この種の現象の一番大切な基盤となっているからです」

-霊媒自身が潜在意識を大人しくさせる必要があるということでしょうか。

「そうではありせん。支配霊の個性と霊媒の個性とが完全に調和し、その調和状態の中で支配霊自身の思念を働かさなければなりません。他方、支配霊は、丁度タイプライターのキーを押すと文字が打たれるような具合に、霊媒の潜在意識の連係パターンをマスターして、他の知的存在の指令にもすぐさま反応するように仕向けなければなりません。それが支配霊として要求される訓練です。先程述べたことを絶対に避ける為の訓練といってもよろしい。
 これで皆さんも得心して頂けることと思いますが、霊媒現象は霊媒という生きた人間を扱う仕事であり、霊媒には霊媒としての考えがあり、偏見があり、好き嫌いがありますから、今も述べたように、[支配する]といっても、ある程度はそうした特徴によって影響されることは免れません。
 霊媒を完全に抹殺することは出来ません。どの程度までそうした影響が除去できるかは、支配霊がどの程度まで霊媒との融合に成功するかに掛かっています。もし仮に百パーセント融合できたとしたら、霊媒の潜在意識による影響はゼロということになるでしょう。
 霊媒を抹殺するのではありません。それは出来ません。融合するのです。霊媒現象の発達とは、それを言うのです。円座の形に席を取って頂くのはその為です。列席者から出るエネルギーが、その融合を促進する上で利用されるのです。調和が何より大切ですと申し上げるのはその為です。
 出席者の間に不協和音があると、それが霊媒と支配霊との融和を妨げるのです。交霊会の進行中は、絶え間なく精神的エネルギーが作用しています。お見せすることは出来ませんが、出席者の想念・思念・意志・欲求・願望の全てが、通信に何らかの影響を及ぼしています。支配霊が熟練している程、経験が豊富である程、それだけ霊媒との調和の程度が高く、それだけ潜在意識による着色が少なくなります」

-そうすると、霊媒はなるべく支配霊と似通った願望や性格の持ち主がよいということになりませんか。

「一概にそうとも言い切れません。これは異論の多い問題の一つでして、私達の世界でも意見の相違があります。忘れないで頂きたいのは、私達スピリットも人間的存在であり、地上との霊的交信の方法について、必ずしも全ての点で意見が一致しているわけではないということです。
 例えば、無学文盲の霊媒の方が潜在意識による邪魔が少ないから、成功率が高いと主張する者がいます。それに対して、いや、その無知であること自体が障害となる-それが一種の壁をこしらえるので、それを突き崩さねばならなくなるのだ、と反論する者がいます。安物の楽器よりも名匠の作による楽器の方が良い音楽を生むのと同じで、霊媒も教養が高い程良い-良い道具ほど良い通信を受け易いのだと主張するわけです。私はこの意見の方が正しいと思います」

-何故、教養の有る無しが問題とされるのでしょうか。人格の問題もあるのではないでしょうか。

「私は今、トランス状態での通信の話をしているのです。人間性の問題はまた別の要素の絡んだ問題です。今は、霊言が送られる過程を述べているのです。通信のメカニズムといってよいでしょう。
 分かり易い譬えで言いますと、バイオリニストにとっては名器のストラディバリウスの方が、安物よりも弾き易いでしょう。楽器の質の良さが、良い演奏を生むからです。安物では、折角の腕が発揮出来ません。
 霊媒の人間性の問題ですが、これは、霊言の場合ですとその通信内容に、物理現象の場合ですと現象そのものに、その影響が出ます。物理霊媒の場合、霊格が低い程-程度の問題として述べているだけです-例えばエクトプラズムの質が落ちます。物質的にではなく、霊的観点からみてです。
 霊側と霊媒とを繋ぐ霊力の質は、霊媒の人間性が決定付けるのです。例えば、地上ならさしずめ[聖者]とでもいえる高級霊が、人間性の低い霊媒を通して出ようとしても、その霊格の差の為に出られません。接点が得られないからです」

-物理現象においても霊媒の潜在意識が影響を及ぼすように思えるのですが、その点についてご説明願えませんか。

「交霊会のカギを握っているのは霊媒です。霊媒は電話機のようなものではありません。電信柱ではありません。モールス信号のキーではありません。生きた機械です。その生命体のもつ資質の全てが通信に影響を及ぼします。
 だから良いのです。もしも霊界と地上との交信の為に純粋の通信機が出来たら-そういうものは作れませんが-それによって得られる通信は、美しさと荘厳さが失われるでしょう。
 いかなる交霊会においても、カギを握るのは霊媒です。霊媒なしでは交霊会は出来ません。霊媒の全資質が使用されるのです。例えばメガホン一本が浮揚するのも、物質化像が出現するのも、その源は霊媒にあります。そして、霊媒のもつ資質が何らかの形でその成果に現れます」

-霊が憑ってくると霊媒の脈拍が変化するのはなぜでしょうか。その脈拍は霊の脈拍なのでしょうか。

「霊が霊媒を支配している時は、霊媒の潜在意識を使用しています。すると当然、霊媒の基本的な機能、つまり心臓・脈拍・体温・血液の循環などを支配することになります。トランス状態に入ると呼吸が変化するのはその為です。
 一時的なことです。ですが、一時的にせよ、その間は支配霊は物質界と接触して、自分の個性を物質的身体を通して再現しているわけです。例えば私は今、元アメリカ・インディアンの霊的身体を使用しております(注)。そのインディアンの身体の脈拍です。このような形で行う方が一から始めるよりも手間が省けます」

(注 通信の始原であるシルバーバーチと名乗る霊は、ほぼ三千年前に地上生活を送ったことがあるということ以外は、民族も国家も地位も明かしていないが、その三千年間の体験の知識と霊的進化によって、その霊格から出る波動は、既に地上的波動と直接の接触が出来なくなっている。そこで地上でインディアンだった霊の身体を変圧器として通信を送っている。インディアンは霊界の霊媒である-訳者)

-では、バーバネルの今の脈拍は三十分前とは違うわけですか?

「違います」

 別のメンバーが、ある霊媒に少年の霊が憑かってきた時に、ガラッと様子が一変した話をして、そういう場合は誰かが操作するのか、それとも自動的にそうなるものかを訊ねると-

「自然にそうなるのです」

-支配霊が操作をするわけではないのですね?

「その必要はありません。霊媒の潜在意識はそうした事態に直ぐに対応出来るのです。子供が乗り移ると、自動的にその子供のバイブレーションをキャッチして、脈拍と心臓がそれに応じた打ち方をするのです」

-そういう対応が出来るようになるのは支配霊の力量ですか、それとも霊媒自身の能力ですか。

「両者の連帯関係の進歩です。私の場合、バーバネルの脈拍を正常・異常のどちらにでも変えることが出来ます」

 これを聞いてもう一人のメンバーが、ある実験界で支配霊が、霊媒の左右の腕の一方の脈拍を止め、他方を打たせ続けたことがある話をした。するとシルバーバーチが-

「それは可能です。あなたでも出来るのです。ヨガの修行僧は全身の神経中枢を自在にコントロールすることが出来ます。全ては精神統一(集中力)と鍛練に掛かっております」
       
       
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