別の日の交霊会に、世界的に名の知られた小説家が出席した。シルバーバーチが出る前に、地上で世界的に有名だった人物で今ではシルバーバーチ霊団のメンバーとして活躍している複数の霊がバーバネルの口を借りて挨拶し、それに応えてサークルのメンバーが挨拶を返している様子を、その小説家は黙って見つめていた。
 やがてシルバーバーチが出現して、その小説家に向かって
「私には、あなたが今日初めての方とは思えません。実質的に霊力に無縁の方ではないからです」
と述べてから、更にこう続けた。
「あなたの場合は意識的に霊力を使っておられるのではありません。あなたご自身の内部で表現を求める叫び、使って欲しがっている単語、言語で表現して欲しがっているアイディア、湧き出てきてあなたを包み込もうとする美、時として困惑させられる不思議な世界、そうしたものが存在することを知っている人間が持つ、内的な天賦の才能です。違いますか?」

-全く仰る通りです。

「しかし同時に、これは多くの方に申し上げていることですが、ふと思いに耽り、人生の背後でうごめいているものに思いを馳せ、いかにして、なぜ、いずこへ、といった避け難い人生の問題に対する回答を自ら問うた時に、宿命的ともいえるいきさつで道が開けてきました。お若い頃からそうであった筈ですが、いかがですか?」

-その通りです。

「私達は、方法は何であれ、自分の住む世の中を豊かにし、美と喜びで満たし、いかなる形にせよ慰めをもたらす人を、誇りをもって歓迎致します。しかし、あなたは、これまでになさったことより、まだまだ立派なことがお出来になります。お分かりでしょうか?」

-是非知りたいものですね。

「でも、何となくお感じになっておられるのではありませんか?」

-(力強い口調で)感じております。

ここでシルバーバーチがサークルのメンバーの一人に向かって
「この方(小説家)は霊能をお持ちです」
と言うと、そのメンバーも「そのようですね。霊眼をお持ちです」と相槌を打った。
するとシルバーバーチは
「しかしこの方の霊能は、まだ鍛練がなされておりません。純粋に生まれつきのものです」
と述べてから、今度はその小説家の方へ顔を向けて
「あなたは陰から指導している複数の霊の存在にお気づきですか。あなたが感じておられるより、遙かに多くの援助をしてくれているのですよ」
と言った。すると別のメンバーが、その小説家がこれからするべきことは何かと訊ねた。
「それは、これまでになさってきたことより、遙かに大きな仕事です。その内自然に発展していきます。既にその雰囲気がこの方の存在に充満しておりますから、多分ご自分でも気付いておられる筈です。じっとしていられないことがある筈です。私が言わんとしていることはお分かりでしょう?」

-非常によく分かります。

「次に申し上げることをよく理解しておいてください。他の全ての人間と同じく、あなたも、その小さな身体に大きな魂を宿しておられるということです。ぎこちない大雑把な言い方をしましたが、あなたという存在は、肉体という、魂の媒体としては痛ましいほど不適当な身体を通して表現せざるを得ないということです。
 あなたの真の自我、真の実在、不滅の存在であるところの魂に宿る全能力-芸術的素質・霊的能力・知的能力の全てを顕現させるにつれて、その分だけ、身体による束縛から逃れることになります。魂そのものは本来は物質を超越した存在ですから、たとえ一時的には物質の中に閉じ込められても、その内、鍛練や養成をしなくても、無意識の内に物質を征服し優位を得ようと、あらゆる手段を試みるようになります。
 それが今まさに、あなたの身の上に起きつつあるわけです。インスピレーション・精神的活動・目に見えない側面の全てが一気に束縛を押し破り、あなたの存在に流入し、あなたはそれに抗し切れなくなっておられる。私の言っていることがお分かりでしょうね?」

-非常によく分かります。

「しかし同時に、あなたは私達の世界の存在によって援助されております。既に肉体の束縛から解放された人達です。その人達は情愛によってあなたと結ばれております。愛こそ宇宙最大の絆なのです。愛は、自然の成り行きで愛する者同士を結び付け、いかなる力も、いかなるエネルギーも、その愛を裂くことは出来ません。愛がもたらすことの出来る豊かさと温もりの全てを携えてあなたを愛している人達は、肉体に宿るあなたには理解出来ない範囲で、あなたの為に色々と援助してくれております。
 しかし、それとは別に、そうした情愛・血縁・家族の絆で結ばれた人々よりも霊性において遙かに高級な霊が、共通の関心と共通の目的意識とをもって、あなたの為に働いてくれております。今ここで簡単には説明出来ない程援助してきており、これから後、条件さえ整えば、存在をあなたに知らしめることも有り得るでしょう」

-是非知らせて欲しいものです。それに、そうした背後霊の皆さんに、私からの感謝の気持を伝えて頂けますでしょうか。

「もう聞こえていますよ。今日私から是非あなたにお授けしたいのは、あなたの周りに存在する霊力の身近さについての認識です。私は、皆さんから見て、古い霊です。私にも為しうる仕事があることを知り、僅かですが私が摂取した知識が地上の人々のお役に立てばと思って、こうして戻ってまいりました。
 既に大勢の友、その知識を広める為に私の手足となってくれる同僚を沢山見出しております。本日も出席しているパリッシュ(心霊治療家)のように特殊な使命を帯び、犠牲と奉仕の記念碑を打ち立てている者もいます。
 しかし、全ての同志が、自分が利用されていることを意識しているわけではありません。でも、そんな人達でも、時たま、ほんの瞬間にすぎませんが、何ともいえない内的な高揚を覚え、何か崇高な目的の成就の為に自分も一翼を担っていることを自覚することがある筈です」