-[豚に真珠を与えるなかれ]と言ったイエスの真意は何だったのでしょうか。

「自分では立派な真理だと思っても、受け入れる用意の出来ていない人に無理矢理に押し付けてはいけないということです。拒絶されるから余計なことはするなという意味ではありません。それなら、イエスの生涯は拒絶されることの連続でした。
 そんな意味ではなく、知識・真理・理解を広めようとする努力が軽蔑と侮辱をもって迎えられるような時は、そういう連中は見る目がないのだから、無理して美しいものを見てもらおうとせずに、手を引きなさいという意味です」

-一身上の問題で指導を仰ぐことは許されるでしょうか。

「それは許されます。ただ、霊的なことに興味はあっても、真髄を理解していない人に説明する時は慎重を要します。うっかりすると、霊界からの援助を自分のご利益の為だけに不当に利用しているかの印象を与えかねません。
 スピリチュアリズムの基本は、詰まるところ物的な豊かさよりも霊的な豊かさを求めることにあり、自分自身と宇宙の大霊についての実相を理解する上で基本となるべき摂理と実在を知ることです。無論物的生活と霊的生活とは互いに融合し、調和しております。両者の間にはっきりとした一線を画することは出来ません。霊的なものが物的世界へ顕現し、物的なものが霊的なものへ制約を与え、条件づけております」

-この世に生きる目的は、霊的な顕現を制約するものを少しでも排除し、霊的資質が肉体を通してなるべく多く顕現するようにすることだと私は理解しておりますが・・・

「その通りです。地上生活の目的はそれに尽きます。そうすることによって自分とは何かを悟っていくことです。自分を単なる肉体であると思い込んでいる人は、大きな幻影の中で生活していることになり、いつかは厳しい現実に目覚める日が来ます。その日は地上生活中に訪れるかも知れないし、こちらへ来てからになるかも知れません。地上にいる内に悟った方が遙かに有利です。なぜなら、地上には魂の成長と顕現の為の条件が全部揃っているからです。
 人間は地上生活中の身体機能ならびに霊的機能を存分に発揮するように意図されているのです。霊的なことのみに拘って身体をそなえた人間としての義務を怠ることは、身体上のことにばかり目を奪われて霊的存在としての責務を疎かにするのと同じく、間違っております。
 両者が完全なバランスが取れていなければなりません。その状態の中で初めて、この世にありながら俗世に染まらない生き方が出来ることになります。つまり身体は、神性を帯びた霊の[宮]として大事にし、管理し、手入れをする。すると成長と進化の過程にある霊が身体を通して成長と進化の機会を与えられる、ということです」

-心霊治療を始めるには、治療家自身がまず完全な健康体でなければならないのでしょうか。

「無論、誰しも健康体であるのが望ましいに決まっています。ただ、霊力によって病気を治す人も、霊媒と同じく[道具]です。つまり自分が受けたものを伝達する機関にすぎません。その人を通って霊力が流れるということです。言わば[通路]であり、それも、内部へ向けてではなくて外部へ向けて送る通路です。
 その人の資質・才能・能力がその人なりの形で顕現しますが、それが霊界との中継役、つまり霊媒としての資格となり、生命力と賦活力と持久力に溢れた健康エネルギーを地上へもたらす役目が果たせるのです。その際、治療家自身の健康に欠陥があるということ自体は、治療能力の障害にはなりません。治療エネルギーは霊的なものであり、欠陥は身体的なものだからです」

-精神統一によって心の静寂、内的生命との調和を得ることは健康の維持に役立つでしょうか。

「自然法則と調和した生活を送り、精神と身体との関係を乱すような行為をしなければ、全ての病気に効果があるでしょう。或いは、遺伝的疾患のない健全な身体をもって生まれていれば効果があるでしょう。内部に秘められた[健康の泉]の活用法を知れば、全ての病気を駆逐することが出来ることは確かです。
 しかし、現実には、地上に病気が蔓延している以上、事は非常に厄介です。限界があるということです。例えば[死ぬ]ということは誰も避けられません。身体は用事が終れば捨てられるのが自然法則だからです。しかし困ったことに、あまりに多くの人間が内部の霊性が十分に準備出来ない内に、つまり熟しきらない内に、肉体を捨てています。魂の鍛練にとって必要な体験を十分に積んでいないのです。
 私は法則を有りのままに述べているまでです。人間にとってそれを実践するのが容易でないことは、私も承知しております。何しろ地上というところは物質が精神を支配している世界であり、精神が物質を支配していないからです。本当は精神が上であり、霊がその王様です。しかし、その王国も人間の行為の上に成り立っています」

-心の静寂が得られると肉体器官にどういう影響が現れるのでしょうか。

「それ本来の有るべき状態、つまり王様である霊の支配下に置かれます。すると全身に行き渡っている精神が、その入り組んだ身体機能をコントロールします。根源において生命を創造し身体を形づくった霊の使命に従って行われます。その時は霊が身体の構成要素のあらゆる分子に対して優位を占めています。
 それが出来るようになれば、完全な調和状態-あらゆる部分が他と調和し、あらゆるリズムが整い、真の自我と一体となります。不協和音もなく内部衝突もありません。静寂そのものです。宇宙の大霊と一体となっているからです」

-あなたはなぜそんなに英語がお上手なのでしょう?

「あなた方西洋人は時折妙な態度をお取りになりますね。自分達の言語が喋れることを人間的評価の一つとなさいますが、英語が上手だからといって別に霊格が高いことにはなりません。たどたどいう言葉で喋る人の方が遙かに霊格が高いことだってあるのです。
 私はあなた方の言語、あなた方の習性、あなた方の慣習を、長い年月をかけて勉強しました。それは、こちらの世界ではごく当たり前の生活原理である[協調]の一環です。いわば互譲精神を実践したまでのことです。
 あなた方の世界を援助したいと望む以上は、それなりの手段を講じないといけません。その手段の中には人間の側に最大限の努力を要求することになるものがある一方、私達にとって嫌悪感を禁じ得ない程の、神の子としてのギリギリの最低線まで下がらなくてはならないこともあります。
 私はこうして英語を国語としている民族を相手に喋らねばなりませんので、英語を習得するのに長い歳月をかけました。皆さんからの援助も頂いております。同時に、かつて地上で大人物として仰がれた人々の援助も受けております。今でも、言語的表現の美しさと簡潔さで歴史にその名を残している人々が、数多く援助してくれております」

-心に念じたことは全部その霊に通じるのでしょうか。

「そんなことはありません。その霊と波長が合うか合わないかによります。合えば通じます。バイブレーションの問題です。私と皆さんとは波長がよく合います。ですから、皆さんの要求なさることが全部読み取ります。何かを要求なさると、そこにバイブレーションが生じ、その[波動]が私に伝わります。それを受取る受信態勢が私に整っているからです。地上と霊界との間は、魂に共鳴関係があれば、思念や願い事の全てがすぐさま伝わります」

-我々が死ぬ前と後には、霊界の医師が面倒を見てくれるのでしょうか。

「見てくれます。霊体をスムーズに肉体から引き離し、新しい生活に備える必要があるからです。臨終の床にいる人がよく肉親や知らない人の霊が側に来ていることに気付くのは、その為です。魂が肉体から脱け出るのを手助けしているのです」

-昨今のような酷い地上環境では、全く新しいタイプの霊が誕生する方がいいのではないでしょうか。

「私達は、人間一人ひとりが果たすべき責任をもって生まれていると説いております。たとえ今は世界が混沌とし心配と喧騒に満ち、敵意と反抗心と憎しみに満ちていても、そうした苦闘と悲劇を耐え忍ぶことの中から、新しい世界が生まれようとしております。その為には、その旗手となるべき人々がいなくてはなりません。その人達の先導によって、真一文字に突き進まねばなりません。
 霊は苦闘の中で、困難の中で、刻苦の中で自らを磨かねばなりません。平坦な道ではなく、困難を克服しつつ前進し、そして勝利を手にしなくてはなりません。恐怖心が一番の敵です。無知という名の暗黒から生まれるものだからです」