シルバーバーチの交霊会を訪れる著名人の顔ぶれは実に多彩であるが、本章で紹介するのはその中でも特異な人物の部類に入るであろう。招待されたのは無声映画時代に〝世界の恋人〟と呼ばれて人気を博した米国の女優メアリ・ピックフォードで、司会のハンネン・スワッハー氏もそれを記事に書いて心霊紙に発表した。それをそのまま転載する。

 映画でも演劇でも芸術作品でも、それが真実を表現し、大勢の人々の心に触れるものをもっておれば、霊界からみれば実に大きな存在価値をもつものであることは、これまでシルバーバーチが各界で活躍している人々を招待した時に度々強調していることであるが、この度も又、そのことを改めて確認することになった。
 以下は先日の交霊会の速記録からの興味深い箇所の抜粋である。

シルバーバーチ「さて、海を渡って(米国から)お出でくださったお客さんに申し上げましょう。今日ここに出席しておられる方々があなたの大のファンであること、又所謂死の彼方にいる人達からも守られていることを、あなたはずっと感じ取って来られたことはご存知と思いますが、いかがですか」
ビックフォード「よく存じております」
シ「その愛、その導きがあなたの人生において厳然たる事実であったことを、あなたは何度も何度も体験しておられます。窮地に陥り、どちらへ向かうべきかが判らずに迷っていた時、はっきりとした形で霊の導きがあり、あなたは迷うことなくそれに従われました。お判りでしょうか」
ピ「仰る通りです」
シ「「ですが、実際には情愛によって結ばれた大勢の人々の愛を、これまで意識された以上に、もっともっと受けておられるのです。もしその全てが認識出来たら、あなたのこれまでの生涯が勿体ない程の導きを受けていることが判るでしょう。もしもこの地上生活であなたに託された使命の全てを一度に見せられていたら、とても成就出来ないと思われたことでしょう。それ程のものが、右足を一歩、左足を一歩と、着実に歩んで来られたからこそ今日まで維持出来たのです。
 ある程度はご存知でもまだ全てはご存知ないと思いますが、私達の世界-あなた方の世界から移住してくる霊の住む世界から見ると、真実の宗教は人の為に役立つこと、これしかないことが判ります。無私の善行は霊の通貨なのです。
 すなわち人の為に精一杯の努力をする人は、その誠意によって引き付けられる別の人によってそのお返しを受けるのです。これまでの人生であなたは大勢の人々の生活に幸せと理解力と知識とをもたらしましたが、その分だけあなたは地上の人だけでなく、遙か昔に地上を去り、その後の生活で身に付けた叡智をあなたを通じて地上にもたらさんと願う光り輝く霊も引き寄せております。私の言っていることがお判りでしょうか」
ピ「はい、よく判ります」
シ「こちらの世界ではあなたの存在を大使(アンバサダー)の一人と考えております。つまり一個の仲介者、大勢の人間との間を取り持つ手段というわけです。目に見えない世界の実在という素朴な福音をあなたは熱心に説いて来られました。これまで物的障害が再三にわたって取り除かれ首尾よく前進出来たのも、あなたのそうした心掛けがあったからです。
 そこで、私から良いことをお教えしましょう。あなたは遠からず、これまでのそうしたご苦労に有終の美を飾られる-栄誉を給わり、人生の絶頂期を迎えられるということです。あなたの望まれたことが、これからいよいよその結実をみることになります」
 ここで、私(スワッハー)が出席する会には必ず出現するノースクリッフ卿(注)がシルバーバーチと入れ替わってピックフォードに挨拶を述べた。私は直接は知らないが、ピックフォードが夫君のフェアバンクスと連れ立って初めてロンドンを訪れた時、ファンの群でどこへ行ってももみくちゃにされるので、ノースクリッフが密かに二人を私邸に泊めたという経緯があるのである。(注-英国の有名な新聞経営者で、デイリーメール紙の創刊者。死後スワッハーがよく出席したデニス・ブラッドレーの交霊会に出現し、スワッハーがその記録を『ノースクリッフの帰還』と題して出版、大反響を呼んだ-訳者)
 その後、かつての夫君フェアバンクスが出現して二人の結婚生活の不幸な結末を残念に思っていることを述べた。その件についてはそれ以上深入りしないでおこう。とにかくそれを聞いてピックフォードがシルバーバーチにこう述べた。
ピ「私はかつて地上の人間にも他界した方にも恨みを抱いたことは一度もありません。恨みに思ったのは過ちを犯した時の自分に対してだけです」
シ「ご自分のことをそうダメな人間のようにお考えになってはいけません。今もしあなたの人生の〝元帳〟を整理することが出来たら、所謂〝過ち〟といえる程のものは、無私の行いや善行に比べて至って少ないことがお判りになる筈です。多くの人々にどれ程良いことをしてこられたかは、こちらへお出になるまではお判りにならないでしょう。
 あなたは数え切れない程の人々に愉しみを与えて来られました。暫しの間でも悲しみを忘れさせ、心の悩みや痛みを忘れさせ、トラブルやストレスを忘れさせ、人生の嵐を忘れさせてあげました。あなた自身の願望から、あなたなりの方法で人の為に役立って来れられました。人の為に役立つことが一番大事なのです。
 他の全てのものが忘れ去られ、或いは剥ぎ取られ、財産が失われ権力が朽ち、地位も生まれも効力を失い、宗教的教義が灰燼に帰した後も、無私の人生によって培われた性格だけはいつまでも残り続けます。私の目に映るのは身体を通して光り輝くその性格です。私は幾ばくかの善行を重ねた魂にお会い出来ることを大きな喜びとしております。以上はあなたが自ら〝過ち〟と仰ったのを聞いて私が思ったことです。あなたは何一つ恐れるには及びません。真一文字に進まれればよろしい。あなたも率直なところをお聞きになりたいでしょう?」
ピ「ええ」
シ「あなたは大金を稼ぐのは趣味ではなさそうですね。あなたの願望は出来る限りの善行を施すことのようです。違いますか」
ピ「仰る通りです」
シ「その奇特な心掛けがそれなりの報酬をもたらすのです。自動的にです。その目的はとどのつまりはあなたに確信を与えるということにあります。何一つ恐れるものは無いということです。心に恐怖心を宿してはいけません。恐怖心はバイブレーションを乱します。バイブレーションのことはご存知でしょう?」
ピ「ええ、少しは存じております」
シ「恐怖心は電気を乱します。あなたの心が限りない、そして弛むことのない確信に満ちていれば、霊的真理を手にしたが故の不屈の決意に燃えていれば、この無常の地上において、その心だけは決して失意を味わうことはありません。
 物質界に起きるいかなる出来事も真のあなた、不滅で無限で永遠のあなたに致命的な影響を及ぼすことは出来ません。あなたは、背後にあってあなたを導き支えている力が宇宙最大の力であること、あなたを神の計画の推進の為の道具として使用し、その愛と叡智と真理と知識を何も知らずにいる人々に教えてあげようとしている愛の力であるとの、万全の知識を携えて前進することが出来ます。
 あなたはこれまでに幾度か自分が間違ったことをしたと思って密かに涙を流されたことがあります。しかし、あなたは間違ってはおりません。あなたの前途には栄光への道が真直ぐに伸びております。目的はきっと成就されます。私の申し上げたことがお役に立てば幸いです」
ピ「本当に有難うございました」
シ「いえ、私への礼は無用です。礼は神に捧げるべきものです。私共はその僕に過ぎないのですから。私はこの仕事の完遂に努力しておりますが、いつも喜びと快さを抱きながら携わっております。もしも私の申し上げたことが少しでもお役に立ったとすれば、それは私が神の御心に副(そ)った仕事をしているからに他なりません。あなたとは又いつかお会いするかも知れませんが、その時はもっとお役に立てることでしょう。
 その時までどうか上を向いて歩んでください。下を向いてはいけません。無限の宝庫のある無限の源泉から光と愛がふんだんに流れ込んでいることを忘れてはいけません。その豊かな宝庫から存分に吸収なさることです。求めさえすれば与えられるのです。著述の方もお続けください」

 最後にサークル全員に向かって次のような祈りのメッセージを述べた。
 「どうか皆さんを鼓舞するものとして霊の力が常に皆さんと共にあり、先天的に賦与されている霊的能力をますます意識され、それに磨きをかけることによって幸せの乏しい人々の為に役立て、そうすることによって皆さんの人生が真の生き甲斐あるものとなることを切に祈ります」
 そう述べて、いよいよ霊媒(バーバネル)の身体から離れる直前にピックフォードにこう述べた。
シ「ご母堂が、あなたに対する愛情か不滅であることをあなたが得心してくれるまでは私を行かせないと言っておられます。ご母堂はあなたから受けた恩は決して忘れていらっしゃいません。今その恩返しのつもりであなたの為に働いておられます。どうしても行かせてくれないのですが・・・・」
ピ「でも私こそ母に感謝しております。十回生まれ変わってもお返し出来ない程です」
シ「あなたは既に十回以上生まれ変わっておられますよ」
ピ「猫より多いのでしょうか。十八回でも生まれ変わるのでしょうね。今度こそこの英国に生まれることでしょうよ」
シ「いえ、いえ、あなたは既に英国での前生がおありです。が、これは別の話ですね」
ピ「あと一つだけ・・・私のその英国での前生について何か一言だけでも・・・・」
シ「二世紀以上も前に遡ります。それ以上のことは又の機会にしなくてはなりません。私はもう行かなければなりません。これ以上霊媒を維持出来ません」

 どうやらピックフォードはその二世紀あまり前に少女として英国で生活した前生のことをずっと前から信じていたらしい節がある。その理由については私の記憶にない。
 とにかく、グラディス・スミスという名でトロントに生を享けた彼女は、血統が英国人であることを誇りに思っていることは確かである。
 ハンネン・スワッハー
       
       
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