私は、ほぼ一年半前(1984年5月)に「シルバーバーチ霊言集」全十一巻を総集した『古代霊は語る』を潮文社より上梓した。正直言って、その出版に際して訳者自身も潮文社の担当者も、この種のものに対する一般読者の反応に一抹の懸念を禁じ得なかった。ところが、出版してみると、予想に反して全国各地から訳者と出版社の双方に感動と感謝の手紙が次々と寄せられた。英語の素養のある方からは原書の入手方法についての問い合わせもあった。そして、当然予想されたこととして、霊言集全十一巻を全訳して欲しいという希望が多く寄せられた。
 『古代霊は語る』の〝あとがき〟の中で私は「今この全十一巻を一冊に纏めて、何という無謀なことをしたのだろうと、あたかも過ちを犯してしまった時のような気持がふと湧くことがある。が・・・(中略)決して弁解して言うのではなく、私の理解力の範囲で確信して言うが、シルバーバーチの説かんとすることは本書が一応その全てを尽くしていると考えて頂いて結構である」と述べた。そして今もその確信に変わりはないが、多くの読者からの希望を受け取る毎に、叶えられるものであれば全巻を訳しておくのも私の使命かも知れないという考えが深まっていった。そしてこの度潮文社のご理解を得て、幾つかの条件の下にその実現に努力してみることになった次第である。
 〝条件〟を考慮しなければならない最大の原因は、内容的に重複する個所が多いことにある。『古代霊は語る』と題して一冊に纏めた理由もそこにあるが、〝纏める〟という作業がエッセンスだけに絞ることになる傾向を避けられないことは確かで、現に読者から〝もっと細々とした悩み事の質疑応答はないのでしょうか〟といった手紙も寄せられている。そして、確かにそれが豊富にあるのである。全訳によってそれが紹介出来ることを有り難いと思う一方、重複は是非避けたい気持もある。そこで翻訳のシリーズは原典のシリーズのそのままの置き替えではなく、重複個所を削除し、編者による冗漫な解説も省かせて頂くことにした。その点をご了解願いたい。
 霊言集は五十年余りに亘って蓄積された膨大な量の霊言をハンネン・スワッファー・ホームサークルのメンバーがそれぞれの視点から編集したものである。その内二人のメンバーが二人ずつ出しているので、全部で九人によって十一冊が編集されたことになる。先日、メンバーの一人でバーバネルの秘書だったパム・リバ女史に手紙で確かめたところ、これ以後新たに編集する予定は今のところ無いということであった。
 今改めてその十一巻に目を通してみると、その扱い方は一冊一冊に特徴があり、実に多彩である。その中から本シリーズの第一巻としてアン・ドゥーリー女史の Guidance from Silver Birch (シルバーバーチの導き)を選んだのは、本書が全巻の中でもシルバーバーチの霊訓を最も平易な形で纏めてあり、又「まえがき」でシルバーバーチと霊媒バーバネルについての詳しい紹介があり、本シリーズの初巻を飾るものとして一番適当とみたからである。
 又全巻の中で本書が最もページ数が少なかったことが、巻末に私自身の長文の解説「霊的啓示の系譜」を載せる余裕を与えてくれることにもなった。これによって人類史の背後の霊的な流れの中における『シルバーバーチの霊訓』の位置を理解して頂けるものと信じている。
 熱心な読者の為に、願わくば一冊でも多く、そして少しでも早く出せることを心から念じている。

 1985年7月 近藤 千雄(訳者)
       
       
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