前章ではキリスト教を例に挙げて、スピリチュアリズムの啓示によって改革を迫られるに相違ないと思われる教義を指摘したが、これは伝統的宗教の全てに及ぶべき、極めて範囲の広い、しかも問題点の多いテーマである。ここではこれ以上広げないで、新しい啓示によって明らかとなった死後の実相に迫ってみたい。
 このテーマになると資料は豊富である。しかも、スピリットからの通信に矛盾点もあまり見出せない。メッセージは世界の全ての国ないし民族において〝お告げ(メッセージ)〟という形で太古から入手されてきている。問題は、それがどこまで正確かということである。
 その判断の拠り所として、太古から引き継がれてた死後の世界の概念と比較してみて、細かい点で全く相反する事柄について新しい啓示が悉く一致しており、そこに一貫性が認められる場合は、それを真実と受け取ってよいと私は考える。
 例えば、私が個人的に受け取った十五ないし二十種類のスピリット・メッセージが悉く同じことを言っているのに、それが全て間違っているということは、ちょっと考えられないことである。メッセージの中には地上時代のことに言及したものも多く、それが人間個性や記憶の証拠とされることが多いが、そうしたスピリットが、過去の地上世界のことは本当のことを言い、現在の霊界のことは嘘を言うということも、とても考えられないことである。