エジプト人の霊に代わる。
 「霊界においては地上の近い将来を恐怖の念をもって眺めております。戦争の可能性が見えます。全てがヨーロッパの大混乱へ向けて進行しております。人間が完全になれば戦争はしなくなることでしょうが、それは肉体に宿っている限り有り得ないことです」

 インペレーターに代わる。
 「苦難の時代が近付いております。何時の時代にも真理が顔を出せば必ずそれを目の敵にする反抗勢力が結集するものです。平和が乱されることを嘆く者がいるのも無理ならぬことですが、真実と虚偽との闘いの中に神の真理の火花を打ち出す好機を見出す才覚のある者には、混乱も又喜ぶべき理由が無きにしもあらずなのです。
 戦争と激動を覚悟しなければなりません。苦難と混乱を覚悟しなければなりません。そして又、キリストの再臨を地上への再生と信じる者が惹き起こすであろう抵抗も大いに覚悟しなければなりません。今、〝キリスト的〟と呼ばれる時代が終焉を迎えております。キリストは霊として又霊力として地上へ戻り、人類の魂を解放する為の新しい啓示をもたらしつつあります。
 それを受ける霊媒が背信或いは不信心ではなかろうかと恐れているものは、実はこれより良き種子が蒔かれて行く休閑地のようなものです。迷信的教義によって雁字搦めにされた精神の方が、何の先入観もない精神より遙かに有害です。所謂信仰を持たぬ者が多いことを恐れることはありません。新しい真理が注ぎ込まれる為には、まず無垢な受容性がなければなりません」

 「キリストの生涯には当時のエルサレム、キリストが涙を流して嘆かれた都市だけではなく、皆さんの住んでおられる都市(ロンドン)にも当てはまる予言めいた言葉があることに気付かれるでしょう。ご自身が生きられた時代だけでなく皆さんの時代も見通しておられたのです。エルサレムへの嘆きはそのまま皆さんが運命を共にされている人達にも向けられてよいものです。今や金銭が神の座を占めております。蔓延する贅沢と怠惰の中に堕落の要因があります。今まさに英国の顔に〝滅亡〟の文字が記されております。
 どうか、これからの最後の闘争に備えてください。それは善と悪との闘い、信仰心と猜疑心との闘い、〝法と秩序〟対〝無法と放縦(ほうしょう)〟の闘いです。キリストが予言した嘆かわしき不幸の時代となるでしょう。それが暗黒の勢力、つまり悪魔のしわざとされるでしょう。〝聖霊を汚す罪〟が横行することでしょう。
 そうした中にあって確固たる信念を失わずにいる者は幸いです。煩悩に負けて堕落していく者が多いのです。なかんずく、一旦霊的光明を見ながらそれを拒絶した者は、この地上においても、来るべき霊の世界においても、救いはありません」

 「今まさにキリストの再臨の予言が現実となりつつあります。キリストは〝助け主が訪れるであろう〟と述べておりますが(ヨハネ)、〝助け主〟とはキリストの霊による影響力のことです。それが今、現実に成就されつつあります。地上を去って至福の境涯へと辿り着いた霊が、今再び地上圏へと戻って活躍しております。その最初の余波は不協和音の増幅、邪霊集団による活発な反抗活動、既成権力の狼狽という形で現れます。霊力の流入は反抗勢力を活気付け、又新しい真理の到来に必ず伴うところの頑迷と偏狭が、なりふり構わずむき出しにされます。
 我々は今二つの敵対勢力の真っ只中におります。片や光明より暗黒を好む悪霊集団であり、片や進歩的なものを全て毛嫌いする地上の退嬰(たいえい)的人間です。人間界の日常の出来事がどのようにして霊によって支配されているかについての知識を世間一般に得心させることに、我々はほぼ絶望的となっております。その作用が五感に感応せず、又霊の動きが目に映じないが為に、そうした概念を捉えることが出来ないのです」

 「我々はこれまで、皆さんの注意を単なる一身上の興味の問題ではなく、神の真理と、霊界と物質界との内的交信の実在に向けさせようと努力してまいりました。身内の者からの私的なメッセージによって強い確信が得られる事実をけっして過小評価するわけではありません。ただ、その種の通信はとかく情愛による先入観によって歪められ、情緒的になって正確さを欠き、真実味よりも感情の吐露に終わる傾向があります。
 そこで我々は、一身上のことよりも普遍的なことを基盤として証拠を披露するよう努めてまいりました。一個人の体験は些細で重要性がないかに思われますが、そうした一人ひとりの説得によって得られる霊的真理の進歩は実は絶大なのです。物的宗教から脱け出て霊的知識を受け入れるに至った者が大勢います。新しい、真実味のある宗教を見出したのです。
 それは、言い換えれば、最高神からのインスピレーションを受け取り、その神の懐に抱かれている宗教です。これからの宗教はそういう宗教となるでしょう。神の経綸とインスピレーションが受け入れられる宗教です。
 来るべき時代を担う世代は、皆さんには理解出来ない方法でその働きかけを受けつつあります。地上各地に霊的影響力の中枢が形成されつつあります。他方、人間の霊性の衰退と邪霊集団の跋扈が、我々にとっての悩みの種を次々ともたらしております。人間界において善なるものが進歩することに反抗的態度を募らせている霊達です。
 しかし、いずれは神霊のほとばしりが地上の隅々にまで浸透して、そうした勢力を内紛状態へと追いやり、受け入れ準備の整っている魂が渇望している真理のメッセージを届けることになるでしょう。
 真摯な魂による祈願は、神の霊力の豊かなほとばしりを求め、信仰厚き魂が真理の為に結束してくれることを求めるものであらねばなりません。
 常に未来へ目をやり、けっして絶望してはなりません。敵対する勢力の全てが結束しても、味方となってくれる神の勢力の方が遙かに大きいのです」