自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 私はひるまず質問を続けました。-
 問『龍神にも人間のように死ぬことがございますか?』
 答『人間界にて考えているような、所謂死というものは勿論ない。あれは物質の世界のみに起こる、ひとつのうるさい手続きなのじゃ。-が、龍神の体にも一つの変化が起こるのは事実である。そなたも知る蛇の抜け殻-丁度あれに似た薄い薄い皮が、龍神の体から脱け落ちるのじゃ。龍神は通例しっとりした沼地のような所でその皮を脱ぎ捨てる・・・・』
 問『龍神さんの分霊が人体に宿ることは、今日では絶対に無いのでございますか?』
 答『龍神の分霊が直接人体に宿って、人間として生まれるということは絶対にないと言ってよい・・・。が、一人の幼子が母胎に宿った時に、同一系統の龍神がその幼子の守護霊又は支配霊として働くことは決して珍しいことでもない。それが龍神として大切な修行の一つでもあるのじゃ・・・・』
 問『龍神にも成年期がございますか?』
 答『それはある。龍神とて修行を積まねば一人前にはなれない・・・・』
 問『大体成年期は何歳位でございますか?』
 答『これはいかにも無理な質問じゃ。本来こちらの世界に年齢はないのじゃから・・・。が、人間の年齢に直してみたら、はっきりとは判らぬが、およそ五、六百年位のところであろうか・・・』
 問『やはり人間のように婚礼の式などもございますもので・・・・』
 答『人間界の儀式とは違うが、やはり夫婦になる時には定まった礼儀があり、そして上の龍神様からのお指図を受ける・・・・』
 問『やはり一夫一婦が規則でございますか?』
 答『無論それが規則じゃ。修行の積んだ、高い龍神となれば、決してこの規律に背くようなことはせぬ。しかしながら霊格の低い龍神の間にはそうのみも言われぬ節がある・・・・』
 問『生まれるのは矢張り一体ずつでございますか?』
 答『一体が普通じゃ、双生児などは滅多にない・・・』
 問『お産ということもありますもので・・・・』
 答『妊娠する以上お産もある。その際、女性の龍神は大抵どこかに姿を隠すもので・・・』
 問『一対の夫婦の間に生まれる子供の数はどれ位でございましょうか?』
 答『それは判らぬ。通例よほど沢山で、幾人と勘定はしかねるのじゃ』
 問『年齢をとればやはり子供を生まぬようになるものでございますか?』
 答『年齢をとるからではない、浄化するから子供を生まぬようになるのじゃ・・・』
 問『浄化したのと、浄化しないのとの区別は、どうして見分けられますか?やはり色でございますか?』
 答『左様、色で一番よく判る。最初生まれたての龍神は皆茶ッぽい色をしている。その次は黒、その黒味が次第に薄れて消炭色になり、そして青味が加わって来る。そなたも知る通り、多く見受ける龍神は大抵青黒い色をしているであろうが・・・。それが一段向上すると浅黄色になり、更に又向上すると、あらゆる色が薄らいでしまって、何ともいえぬ神々しい純白色になって来る。白龍になるのには大変な修行、大変な年代を重ねねばならぬ・・・・』
 問『夫婦になるのは大抵どの辺の色でございますか?』
 答『色にはよらぬ。黒は黒同志で夫婦になり、そしていつまで経っても黒が脱けないのも少なくない・・・』
 問『男女の区別は主にどこで判りますか?』
 答『角が一番の目印じゃ。角のあるのは男、角のないのは女・・・・』
 問『夫婦の龍神はやはり同棲するものでございますか?』
 答『龍神にとりて、一緒に棲む、棲まぬは問題でない。龍神の生活は自由自在、人間のように少しも場所などには縛られない』
 問『生まれたばかりの子供はどうしておりまするか?』
 答『暫くは母親の手元に置かれるが、やがて修行場の方で引取るのじゃ』
 問『どういう訳で池を修行場にしてあるのでございますか?』
 答『池は一種の行場じゃ。人間界の禊(みそぎ)と同じく、水で清められる意味にもなっておるのでナ・・・・・』