自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 龍神界、天狗界と、まるきり人間には見当のとれそうもない、別世界のお話を致したついでに、一つ思い切ってもっと見当のとれない或る世界の物語をさせて頂きましょう。外でもない、それは妖精の世界のお話でございます。
 『研究の為に汝に見せてやらねばならぬ不思議な世界がまだ残っている』と、或る日指導役のお爺さんが私に申されました。『人間は草や木をただ草や木とのみ考えるから、やたらの花をむしったり、枝を折ったり、甚だしく心無き真似をするのであるが、実を言うと、草にも木にも皆精・・・つまり魂があるのじゃ。精があればこそあんなにも生を楽しみ、あんなにも美しい姿態を造りて、限りなく子孫を伝えて行くのじゃ。今日は汝を右の妖精達に引き合わせてやるから、成るべく無邪気な気持で、彼等に会ってもらいたい。妖精というものは姿も可愛らしく、心も稚(わか)く、少しこちらで敵意でも示すと、皆怖がっていずことも知れず姿を消してしまう。人間界で妖精の姿を見る者が、大抵無邪気な小児に限るのもその故じゃ。今日の見物は天狗界や龍神界の大掛かりな探検とはよほど勝手が違うぞ・・・』
 こんな事を話してくれながら、お爺さんは私を促して山の修行場を出掛けたと思うと、そのまま一気に途中を飛び越して、忽ち一望眼も遙かなる、広い広い野原に出てしまいました。見ればそこら中が、綺麗な草地で、そして恰好の良い様々の樹草・・・松、梅、竹、その他があちこちに点綴しているのでした。
 『ここは妖精の見物には誂え向きの場所じゃ。大抵の種類が揃っているであろう。よく気をつけて見るがよい』
 そう注意されている中に、もう私の眼には喋々のような羽をつけた、大きさはやっと二、三寸から三、四寸位の、可愛らしい小人の群がちらちら映って来たのでした。
 『まあ何という不思議な世界があればあったものでございましょう!』と私は我を忘れて、夢中になって叫びました。『お爺さま、あそこに見える十五、六歳位の少女は何と品位の良い様子をしていることでございましょう。衣装も白、羽も白、そして白い紐で額に鉢巻をしております・・・。あれは何の精でございますか?』
 『あれは梅の精じゃ。若木の梅であるから、その精もやはり少女の姿をしておる・・・』
 『木の精でもやはり年齢をとりまするか?』
 『年齢をとるのは妖精も人間も同一じゃ。老木の精は、形は小さくとも、やはり老人の姿をしておる・・・』
 『そしてやはり男女の区別がありまするか?』
 『無論男女の区別があって、夫婦生活を営むのじゃ・・・』
 そう言っている中に、件の梅の精は、暫く私達の方を珍しそうに眺めておりましたが、こちらに害意がないと知って安心したものか、やがてスーッと、丁度トンボのように、空を横切って、私の足元に飛び来たり、その無邪気な、朗らかな顔に笑みを湛えて、下から私を見上げるのでした。
 不図気が付いてみると、その小人の体中から発散する、何ともいえぬ高尚な香気!私はいつしかうっとりとしてしまいました。
 『もしもし梅の精さん、あなたは何とまあ良い香を立てていなさるのです・・・・』
 そう言いながら、私は成るべく先方を驚かさないように、静かに静かに腰を降ろして、この可愛い少女とさし向かいになりました。
       
       
自殺してはならない霊的な理由 自殺志願者は、まず[自殺の霊的知識]を読んで!
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