自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 鎮座祭が済んでから私は一旦海の修行場に引き上げました。それは小桜神社の祭神として実際の仕事にかかる前にまだ何やら心の準備が要ると考えましたからで・・・・。
 で、私は一生懸命深い統一に入り、過去の一切の絆を断ち切ることによりて、一層自由自在な神通力を恵まれるよう、心から神様に祈願しました。それは時間にすれば恐らく漸く一刻位の短い統一であったと思いますが、心が引き締まっているせいか、私とすれば前後にない位の優れて深い統一状態に入ったのでございました。畏れ多くも私として、天照大御神様、又皇孫命様の尊い御神姿を拝し奉ったのは実にその時が最初でございました。他に色々申し上げたいこともありますが、それは主に私一人に関係した霊界の秘事に属しますので、暫く控えさせて頂くことに致しましょう。
 ただ一つここで御披露しておきたいと思いますことは、神馬の件で・・・。つまりふとした動機から小桜神社に神馬(しんめ)が一頭新たに飼われることになったのでございます。その経緯はこうなのでございます。
 私が深い統一から覚めた時に、思いも寄らず最前からそこに控えて待っていたのは、数間の爺やでございました。爺やは今日の鎮座祭の慶びを述べた後で、突然こんなことを言い出しました。-
 『姫様が今回神社にお入りなされるにつけては、是非神馬が一頭欲しいと思いまするが・・・』
 『ナニ神馬?』と私はびっくりしまして『そなたは又どうしてそんな事を言い出すのじゃ・・・・』
 『実は姫様が昔お可愛がりになった、あの若月・・・あれがこちらの世界に来ているのでござります。私は何回かあの若月に会っておりますので・・・』
 『若月なら私も一度こちらで会いました・・・・』
 『もうお会いなされましたか・・・・なんとお早いことで・・・・。が、それなら尚更のことでござります。是非あの若月を小桜神社の神馬に出世させておやり下さりませ。若月がどんなに歓ぶか知れませぬ。又かりそめにも一つの神社に一頭の神馬もないとあっては何となく引き立ちませんでナ・・・・』
 『そんな勝手な事が、出来るかしら・・・・』
 『出来ても、出来なくても一応神様に談判して頂きます。これ位の願いが許されないとあっては、ワシにも了見がござります・・・・』
 数間の爺やの権幕と言ったら大変なものでした。
 そこでとうとう私から指導役のお爺さんにお話すると、意外にも産土の神様の方では既にその手筈が整っており、神社の横手に小屋も立派に出来ているとの事でござりました。それと知った時の数間の爺やの得意さと言ったらありませんでした。
 『ソーれお見なされ姫様、他のことにかけては姫様がお偉いかも知れぬが、馬の事にかけてはやはりこの爺やの方が一枚役者が上でござる・・・』
 間もなく私は海の修行場を引き上げて、永久に神社の方に引き移りましたが、それと殆ど同時に馬も数間の爺やに曳かれて、頭を打ち振り打ち振り歓び勇んで私の所に現れました。それからずっと今日まで馬は私の手元に元気よく暮らしておりますが、ただこちらでは馬がいつも神社の境内に繋がれている訳ではなく、どこに行っておっても、私が呼べば直ぐ現れて来るだけでございます。淋しい時は私はよく馬を相手に遊びますが、馬の方でもあの大きな舌を持って来て私の顔を舐めたりします。それは誠に可愛らしいものでございまして・・・。
 それから馬の呼び名でございますが、私はかねての念願通り、若月を改めて、こちらでは鈴懸と呼ぶことに致しました。私が神社に落ち着いてから、真っ先に訪ねてくれたのは父だの、母だの、良人だのでございましたが、私は何を措いても先ずこの鈴懸を紹介しました。その際誰よりも感慨深そうに見えたのはやはり良人でございました。良人はしきりに馬の鼻頭を撫でてやりながら『汝もとうとう出世して鈴懸になったか。イヤ結構々々!ワシはもう呼び名について反対はせんぞ・・・』そう言って、私の方を顧みて、意味ありげな微笑を漏らしたことでございました。
       
       
自殺してはならない霊的な理由 自殺志願者は、まず[自殺の霊的知識]を読んで!
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