自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 『魂の人』-形像破毀

 夢幻界にありては何れも皆一種のエーテル体を有っているが、肉体に比すればそれは遙かに稀薄精巧である。そしてもしも汝が理智的、道徳的に発達しているなら、汝はいつしか、もっと意識の階段を昇りたいという欲求に駆られる。稀にそっくりそのまま地上に再生して、現世の葛藤を経験するものも絶無とは言わないが、それは寧ろ例外である。地上に向かうのは、単に中心の上昇意識から分裂した断片であり、一念であるにしか過ぎない。
 さて右の上昇意識がやがて帯びるのは、従来よりも更に一段精巧な一種のエーテル体で、そしてその入り行く先は、地球付属の上層エーテル界なのである。エーテルという文字は甚だ拙いが、他にこの地球の稀薄なる放射体に命ずべき適当な言葉がない。何卒エーテルとは物質の祖先、つまりその根源素であると記憶してもらいたい。
 ところで『魂の人』が、主として形態に包まれて生活する間は、まだ他界の所属であると覚悟せねばならない。無論それにも多くの階級、多くの表現形式があり、それぞれのエーテル体は皆その振動数が異なる。そしてそれが精巧であればある程精神的、理智的の透覚が鋭く、従って一切の思索想像の大極、神につきての把握力が加わって来る。
 夢幻界の彼岸にありては、無論汝は物的地球の根源である所の一つの世界に生活する。これを一言にして尽くせば、この物的地球は、精巧なエーテル体に包まれた、優秀な魂の所有者達が生活する、他の一つの美しき世界の模写、甚だ醜く燻(くすぶ)った模写、でしかない。諸君は地上の画家達が試みる傑作の模写が、いかに原作の魂を捕え得ないかを知るであろう。寸法は正しい。色彩も線も立派である。が、その中に溌剌(はつらつ)たる生命が宿っていないので、これに対する時に、妙に気色が悪くなるものである。物的地球はつまりそれである。非常に優れた原作の下手な模写に過ぎない。時とすればそれは妙に歪み、ひねくれ、時とすればただ朦朧たる輪郭を示すに過ぎない。その中に何の生気もない。真生命はその中に少しも現れていない。
 私が今述べた微妙な内面の世界には、某所に種々雑多の形態を具えた存在物があるが、遺憾ながら、地上にその類例がないので、これを言葉に言い現すことが出来ない。但し顕幽の風物間には、そこに多少の類似点がある。例えば花がそれである。但し内面の世界の花は形も、色も、又光も到底地上のそれの比でない。物的波動の中には、とてもそんな色や光は含まれていない。我々としても、単に思想でこれを言い現し得るのみで、とても言葉を以っていかんともする事は出来ない。何となれば人間の言葉は、我々にとりて既に時代後れであり、廃語となっているから・・・・。
 但し上の世界に住む魂にとりても、まだまだ努力精進の必要があり、又地上の悲とは違った悲、地上の歓びとは違った歓びを味わうの必要がある。その悲しみも、歓びも共に霊的精神的のもので、地上人には想像し得ないが、兎に角この二つの練磨によりて彼等はこの世界の上境に導かれるのである。