自殺ダメ


 (自殺ダメ管理人よりの注意 この元の文章は古い時代の難解な漢字が使用されている箇所が多数あり、辞書で調べながら現代で使用するような簡単な漢字に変換して入力しています。しかし、入力の過程で、間違える可能性もあります故、どうかご了承ください)

 神的実在の一部

 ここで再び上昇か下降かの選択の必要が起こる。第六界の上層に達した魂が果たして大飛躍をなすの準備があるか。果たして『時』の世界から『無時』の世界へ、『形』の存在から『無形』の存在へ移り行く準備があるか。これは実に一切の問題の中で、最も困難なる問題である。初めてこの難問題に直面した時、よく肯定的答案を与ふべき準備ある魂は、真に数える程しかない。
 私はこの第七界が、『有形から無形への通路』であると言ったが、しかしこの『無形』の意味を曲解してはならない。私の所謂無形とは、形態を以ってそれ自身を表現する必要のない存在の意義である、と解釈してもらいたい。兎に角第七界に入る魂こそは、真の彼岸に入るのである。彼は神、宇宙の本体と一体になるのである。
 但し宇宙の本体との合同は、決して寂滅を意味する事と考えてはならない。汝は依然として独立的存在である。汝は言わば大海の一波浪である。汝は漸く実在の中に歩み入りて、あらゆる外形の迷を放棄したのである。が、汝の霊には、物質界並にエーテル界に於ける、永い永い経験の結果として、或る不可知の要素が加味されている。そればかりは何物にもかえられず、又何事を以ってしても滅ぼし得ない、一の貴い特質である。
 事実、第六界から第七界への進入は、物的宇宙からの脱出である。汝は独り『時』の流れの外に脱出したのみならず、又宇宙の最後の物的存在からの脱出でもある。が、或る意味に於いて、汝は依然として宇宙の内部に留まっている。汝は全体の一部、換言すれば神の一部として、丁度太陽のような働きをしている。汝の光は物的宇宙の瀰漫するが、しかし汝の霊は、完全に物質から離脱して、永遠の大霊の中に君臨している。宇宙に即して、しかも宇宙と離脱するということが、恐らく人生一切の努力の最終の目標であるらしい。
 私は今極度に切り詰めた言葉で、永劫の時の中に起こる人生を描き、かの不可思議なる『無時』の観念を伝えるべく試みた。もしも汝が神的実在の一部として、一旦彼岸に歩み入ったとすれば、汝は神の想像の全部に通暁する。汝は一秒時として無自覚でいることなく、地球の歴史の一切は、悉く汝の意識の中に入る。同様に汝は一切の天体の歴史にも通暁する。宇宙の萬有は、全部汝の偉大なる想像の中に包含される。過去、現在、未来、あるもの、あったもの、あるべきもの-これを要するに生命の全体が、永遠無窮に汝の薬籠中のものとなる。
 真の彼岸、真の超越界は到底筆舌に絶する。これを書こうとするさえ、傷心の種子である。
 『召さるるものは多く、選ばれるものは少ない』-これは実に至言である。地球生命の存続中に、彼岸に到達するものは極めて少数である。ある一群の魂達はよく第六界に達するが、多くはそこがとまりである。その中特殊の使命を帯びて、物質の世界に降るものもある。要するに『無時』の彼岸に歩み入るには、彼等は尚無力であり、不完全なのである。
 (評釈)ここに至りてマイヤースの通信は、いよいよ大飛躍を試みている。私の訳筆は成るべく一字一句をありのままに伝えるべく努めたので、自然読みにくい所が出来たかと思うが、玩味されたなら、彼の言わんとする所は、ほぼ推測に難しくないと思う。私としては、この際わざと蛇足的説明を控える。