自殺ダメ



 [ベールの彼方の生活(一)]P125より抜粋

 1913年10月15日 水曜日

 自分の直ぐ身の回りに霊の世界が存在することを知らない人間に死後の存続と死後の世界の現実味と愛と美を説明するとしたら、あなたなら何から始められますか。多分第一に現在のその人自身が不滅の霊であることを得心させようとなさることでしょう。そしてもしそれが事実だったら死後の生活にとって現在の地上生活が重大な意味を持つことに気付き、その死後の世界からの通信に少しでも耳を傾けようとすることでしょう。何しろその世界は死というベールを潜り抜けた後に例外なく行き着く所であり、否応なしに暮らさねばならない所だからです。
 そこで私達は、もしも地上の人間が今生きているその存在も実在であり決して地上限りの儚いものではないことを理解してくれれば、私達のように身をもって死後の生命と個性の存続を悟り、同時に地上生活を正しく生きている人間には祝福が待ち構えていることを知った者からのメッセージを、一考の価値あるものと認めてくれるものと思うのです。
 さて、その死の関門を潜り抜けてより大きい自由な世界へと足を踏み入れた人間が、滞りなく神の御国での仕事に勤しむことになるのは何でもないことのようで、実は只事ではないのです。これまで私達は地上生活と死後の世界との因果関係について多くのケースを調べてみて、地上での準備と自己鍛錬の重要性はいくら強調しても強調し過ぎることはないという認識を得ております。多くの人間は死んでからのことは死んでからで良いと高を括っておりますが、イザこちらへ来てみるとその考えが認識不足であったことに気付くのです。

-今お書きになっているのはどなたですか。

 あなたの母親と霊団の者です。アストリエル様は今夜はお見えになっておりません。又いつかお出でになるでしょう。霊団と共に通信に来られた時はお知らせしましょう。
 では話を続けましょう。〝橋〟と〝裂け目〟の話を致しました・・・

-ええ、聞きました。それよりも、アーノル様のコロニーでの体験と、あなたの本来の界へ戻られてからのことはどうなりました。他に面白いエピソードはもう無いのですか。

 色々と勉強になり、知人も増え、お話したことより遙かに多くのことを見学したということ以外には別に申し上げることはありません。それよりも、是非あなたにお聞かせしたいと思っていることがあります。あのコロニーでの話を続けてもいいのですが、これも同じように為になる話です。
 〝裂け目〟と〝橋〟-例の話を思い出してください。その橋-地上の橋と少し趣きが異なるのですが、引き続きそう呼んでおきましょう-が、暗黒界から延びてきて光明界の高台へ掛かる辺りで目撃したエピソードをお話しましょう。
 私達がそこへ派遣されたのは恐ろしい暗黒界から脱出して首尾よくそこまで到達する一人の女性を迎える為でした。その方は〝光〟の橋を渡って来るのではなく、〝裂け目〟の恐怖の闇の中を這い上がって来るというのです。私達にはもう一人、直ぐ上の界から強力な天使様が付いて来てくださいました。特別にこの仕事を託されている方で、首尾よく救出された霊が連れて行かれるホームを組織している女性天使団のお一人でした。

-お名前を伺いたいのですが。

 ビーニ・・・いけません。出てきません。後にしましょう。書いている内に思い出すかも知れません。
 到着してみると、谷を少し下がった岩だらけの道に一個の光が見えます。どなたか男性の天使の方がそこで見張っていることが判りました。やがてその光が小さくなり始め、谷底へ下りて行かれたことを知りました。それから少しすると谷底から上に向けて閃光が発せられ、それに呼応して〝橋〟に幾つか設けられている塔の一つから照明が照らされました。それはサーチライトに似てないこともありません。それが谷底の暗闇へ向けられ、一点をじっと照らしています。するとビー・・・・、私達に付いて来られた天使様が私達に〝暫くここに居るように〟と言い残してその場を離れ、宙を飛んで素早く塔のてっぺんへ行かれました。
 次の瞬間その天使様の姿が照明の中に消えて失くなりました。仲間の一人が天使様が光線に沿って斜めに谷底へ下りて行くのを見かけたと言います。私には見えませんでしたが、間もなくその通りだったことが判明しました。
 ここで注釈が要りそうです。その照明は見え易くする為のものではありません(高級霊は自分の霊眼で見えますから)。その光には低級界の陰湿な影響力から守る作用があるのです。最初に谷底へ下った霊から閃光が発せられ、それに呼応して、常時見張っている塔から照明が当てられたのも、その為の合図だったのです。私には判りませんでしたが、その光線には生命とエネルギーが充満しており-これ以上上手い表現が出来ません-谷底で援助を必要としている霊の為に発せられたわけです。
 やがて二人の天使が件の女性霊を連れて帰って来られました。男の天使の方は非常にお強い方なのですが、疲れ切ったご様子でした。後で聞いたところによりますと、途中でその女性霊を取り返そうとする邪霊集団と遭遇したのだそうで、信号を送って援助を求めたのはその時でした。お二人はその女性霊を抱き抱えるようにして歩いて来ましたが、その女性は光の強さに半ば気絶しかかっておりました。それを気遣いながら塔へ向けてゆっくりと歩いて行かれました。私にとってこんな光景は初めてでした。もっとも、似たような体験はあります。例の色とりどりの民族衣装を着た大集団が集結した話をしましたが、今度の光景はある意味ではそれよりも厳粛さがありました。というのは、あの光景にはただただ喜びに溢れておりましたが、今目の前にした光景には苦悩と喜びとが混ざり合っていたからです。三人は遂に橋に辿り着き、そこで女性霊は建物の一室に運び込まれ、そこで十分に休養を取り、回復した後私達に引き渡されたのでした。
 この話には私達にとって新しい教訓が幾つかあり、同時にそれまでは単なる推察に過ぎなかったものに確証を与えてくれたものが幾つかあります。その内の幾つかを挙げてみましょう。
 まず、女性霊を救出した二人の天使を見れば判る通り、霊格の高い天使が苦しみを味わうことが無いかのように想像するのは間違いだということです。現実に苦しまれるし、それも度々あるのです。邪悪な霊の住む領域に入ると天使も傷つきます。ならば、その理屈でいくと邪霊集団が大挙して押し寄せれば全土を征服出来そうに思うのですが、矢張り光明と善の勢力の組織がしっかりしていて、且つ常に見張っておりますので、現実にそうした大変な事態になった話を聞いたことがありません。しかし彼らとの闘いは真実〝闘い〟なのです。しかも、大変なエネルギーの消耗を伴います。これが第二の教訓です。高級霊でも疲労することがあるということです。しかし、その苦痛も疲労も厭わないのです。逆説的に聞こえるかも知れませんが、高級霊になると、必死に救いを求める魂の為に自分が苦しみを味わうことに喜びを感じるものなのです。
 又霊の照明の光-エネルギーと活力の光線とでも言うべきかも知れません-の威力は強烈ですから、何かで光を遮断してあげなかったら女性霊は危害を被った筈です。あのように光に慣れない霊にとってはショックが強過ぎるのです。
 更にもう一つ。その光線が暗闇の地帯の奥深く照らされた時、何百マイルもあろうかと思える遠く深い谷底から叫び声が聞こえて来ました。それは何とも言えない不思議な体験でした。と言うのは、その声には怒りもあれば憎しみもあり、絶望の声もあり、はたまた助けとお慈悲を求める声も混じっていたのです。それらが混ざり合ったものが至る所から聞こえて来るのです。私にはそれが理解出来ないので、後で件の女性霊を待っている間にビーニックス Beanix-こう綴るより他ないように思えますのでこれで通します。綴ってみるとどうもしっくり来ないのですが-その方に何の叫び声でどこから来るのかお聞きしました。するとビーニックス様は、それはよくは知らないが霊界にはそうした叫び声を全部記録する装置があって、それを個々に分析し科学的に処理して、その評価に従って最も効果的な方法で援助が差し向けられるとのことでした。叫びの一つ一つにその魂の善性又は邪悪性が込められており、それぞれに相応しいものを授かることになるわけです。
 件の女性をお預かりした時、私達はまずは休養ということで、心の休まる雰囲気で包んであげるように心掛けました。そして十分に体力が回復してから、用意しておいたホームへご案内しました。今もそこで面倒を見てもらっています。
 私達はその方に質問は一切しませんでした。逆にその方から二、三の質問がありました。なんと、あの暗黒界に実に二十年以上も居たというのです。地上時代のことは断片的にしか聞いておらず、一つの話に繋げられる程のものではありません。それに、そんな昔の体験をいきなり鮮明に思い出されることは賢明でないのです。現在から少しずつ遡って霊界での体験をひと通り復習し、それから地上生活へと戻ってこの因果関係-原因と結果、タネ蒔きと収穫を明確に認識しないといけないのです。
 今日はこの程度にしておきましょう。ではさようなら。
 神の祝福と安らぎを、アーメン。

 アーネルの母親の霊からの通信
       
       
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