自殺ダメ



 『これが死後の世界だ』M・H・エバンズ著 近藤千雄訳より


 P142よりの抜粋


 子供の教育

 では子供達はいかなる方法でいかなる教育が授けられるかとなると、これは一概には言えないであろう。教育の究極の目的が魂の開発にある以上、各自の性格と発達程度に応じ、必要性と睨み合わせて一人一人異なった方法を編み出さねばならない筈だからである。その観点からみて天界の教育法の中に一つだけ注目すべきことがある。それは子供の生活の場が常に家庭的雰囲気に包まれていることである。
 つまり先生又は保母と生徒達とは文字通り母と子の関係にあり、決して地上の学校制度のように規律化された形式的なものではない。子供達は言わば孤児であり、先生も先生という役につけられたものではあるが、表面的にはそうでも、霊的には血縁より更に強い〝愛〟の関係によって結ばれており、その上神の叡智による深遠なる配慮が働いているのである。
 では霊界での教育方法の一例を同じく『ヴェールの彼方の生活』に見てみよう。
 「さてその婦人がお坊ちゃんと話をされている間、私達はその近辺をぶらついて子供の教育施設を見て回りました。その中に一つだけ特に目を引くものがありました。
 それは直径六~七フィートもあろうかと思われるガラスの球体で、二本の通路の交差点に据えてあります。中を覗いてみると、色んな種類の花や樹木、草などが植えてありましたが、無造作に植えたものではなく、植物の進化の順を追って植えてあるのです。つまり地上なら化石を色んな角度から観察するところを、こちらでは実際にその進化の過程を再現して勉強しているのです。全部立派に生きており、この球体を覗けば、どの種類の植物がどんな過程を経て現在の形体まで進化したかが一目瞭然と判るようになっているのです。
 ですから、ここの子供達の仕事は結局、植物の現在に至る進化の過程を研究することによって、それが更に今後いかなる過程を経てどのような形体に進化していくかという未来の進化過程を推測することです。知力を伸ばす為の素晴らしいトレーニングで、みんな結構楽しみながらやっているとのことです。
 他の部門でも少し年長の生徒達が同じことを研究していますが、そこでは実生活への応用ということが加味されており、さっきのガラスの球体も実はその年長の生徒達がこしらえたものなのだそうです。未来の標本を作るに当たっては子供達なりに想像力を働かせて、こうなるだろうと思うものをこしらえます。感心させられるような立派なものもありますが、中にはどうも危なっかしいのが混ざっており、時にはちょっと想像出来ないような珍妙な格好をしたものもあります」