自殺ダメ



 死後いずれは住まうことになっている霊的な世界がどうなっているかを理解するにあたって心得ておくべきことを、シルバーバーチの言葉から引用しておくと-
 「あなたは死後に赴く次の世界に今も立派に存在しているのです。バイブレーションの次元が違うに過ぎません。死ぬことで霊的存在になるのではありません。死んだからといって、あなたの霊格が一ミリたりとも増えるわけではありません」
 「あなたは今この時点において立派に霊なのです。今この特殊な物的バイブレーションの階層における幽体のバイブレーションが、死後あなたが赴く階層を自動的に決めるのです」
 「これまで地上界の寿命を生きてきた、その生き方と、その結果として発達した意識レベルが、今のあなたの幽体がどの次元で機能しているかを決定付けます。死後に目覚める階層のバイブレーションについてもこの原則が当てはまります」
 その階層について、シルバーバーチはこう述べています-
 「互いに混ざり合っています。空間に充満している無線電信のバイブレーションと同じです。様々な波長があり、様々なバイブレーションがあります。が、その全てが同時に同じ空間を占めているのです」
 「境界というものはありません。国境もありません。バイブレーションが異なるだけです。異なる階層、ないしは異なる意識レベルで機能しているだけです」
 では、意識レベルを上げて一段と高い階層の存在となるにはどうしたら良いか。そのカギは、シルバーバーチに言わせると〝人の為に役立つことをすること〟に尽きるようです。
 「こちらの世界では、各自の霊性の成長度に相応しい階層、つまりは、環境との調和が最もしっくりくる階層に落ち着きます。知的・道徳的・霊的成長度が自動的にそこに落ち着かせるのです。他の階層との違いは、そこに住まう霊の質の違いです」
 「霊的に高い次元にいる人程、質的に高いということです。他人への思いやりが強い程、慈悲心が大きい程、自己犠牲の意識が高い程、地上界にあっても意識的に高い階層に生きていることになります」
 物理的に言えば、今支配している身体のバイブレーションのレベルが向上するにつれて見た目には物的でも質的に徐々に物質性が衰え、やがて消えてなくなり(死滅し)、次の進化の段階へと進みます。かくして精神(魂)の内部での意識が発達するにつれて大霊(神)に近付くことになるわけです。
 簡単に言えば、以上が宇宙の各階層が互いに繋がり合っていることを示す、基本的なバイブレーションの関係です。バイブレーションというと我々はいかにも実体がないかに想像しがちですが、シルバーバーチは「死と共に後にする物質の世界よりも遙かに実体があり、遙かに実感があります」と述べています。その死後の階層について、更に細かく見てみましょう。
 地上生活を送っている間中も「皆さんは霊の世界の最高界から最低界までの全階層の影響を受ける状態にあります。が、実際に受けるのは各自が到達した霊性と同じ次元のものだけに限られます。邪悪な魂は邪悪なものを引き寄せます。高潔な魂は高潔なものを引き寄せます。それが摂理なのです」
 地上時代に心に宿した思念と実生活の中身によって、死後に待ち受ける階層での環境が決まります。死後の世界に関して誤った知識を教え込まれ、「最後の審判」の日を待ちながら居眠りを続けている霊の問題についてシルバーバーチは-
 「彼らの魂そのものが、そうした信仰が現実になると思い込んでいるのです。ですから、その信仰の概念が変化するまで、外部からは手の施しようがありません。そうした人々は事実上、地上での全生涯を通じて、死んだら大天使ガブリエルがラッパを吹くまで墓で寝て待つのだという思念体を形作り、それを毎日のように上塗りしてきているので、魂の内部での調整が進んでその思念体を切り崩すことが出来るようになるまで、その牢獄に閉じ込められ続けます」
 「自分が死んだことを認めようとしない者も同じです。無理矢理信じさせることは出来ません。死んだという事実を得心させることがいかに難しいか、皆さんには想像出来ないことでしょう」
 肉体器官の機能を支えていた幽体の働きはどうなるのかとの質問に、シルバーバーチはこう答えている-
 「肉体器官の機能が残っているかどうかの問題も意識の程度次第です。死後の生命について全く無知で、死後の世界があるかどうかなど考えたこともない人間は、肉体の機能がそのまま幽体に残っていて、死んだことに気付かないまま、地上時代と全く同じ生活を続けています」
 「勿論死後の世界でも罪を犯します。こちらの世界での罪悪は利己主義という罪悪です。こちらではそれが直ぐに外に現れます。心に宿すと、直ちに知れます。その結果も地上より遙かに早く出ます」
 「それは罪を犯した当人に直ぐに現れ、霊性が低下するのが分かります。どういう罪かと問われても〝自己中心的思考が生み出す罪〟と表現する以外、地上の言語で具体的に説明するのは困難です」