自殺ダメ



 例えば脚が切断された場合、人によってはその脚がずっと残っている感覚を持ち続けることがある。短期間の場合もあれば一生涯続いた例もあるが、大抵の場合は次第に消えていく。これを医学では切断された神経による一種の幻覚としている。大体においてそうであろう。が、感受性の強い人においては超常的な体験をすることがある。
 例えば、切断された手がおがくずの入った箱に入れられて土中に埋められた。そのことを知らない筈の本人が、自分の手がおがくずの中に入れられたような感じがすると言い、更に、その中に入っていた釘が刺さって痛くて眠れないと訴えた。病院側はまさかと思って取り合わなかったが、あまりの強い訴えに、土中から掘り起こして調べてみたところ、確かに釘が指に突き刺さっていたという。
 もう一つの例では、腕を切断された人が、目隠しをされた状態で、その切断された実際には存在しない筈の手の辺りにローソクの炎を近づけると、指に熱さを感じたという。
 切断された四肢の幽体を霊視した例は数多くある。写真に写ったこともあるが、これは実験を重ねる必要がある。片脚を切断されて間もない頃に松葉杖を使うのを忘れて〝幻の足〟で何歩か歩いたという例を幾つかある。信じられない話であるが、この場合は前に紹介した幾つかの例に見られるように、幽体が無意識の内に働いたという説明も出来るし、一種のテレキネシス(念力によって物体を動かす現象)とみることも出来よう。