自殺ダメ

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 このシルバーバーチの霊言とV・オーエンの『ベールの彼方の生活』、それにモーゼスの『霊訓』を私は「スピリチュアリズムの三大霊訓」と呼び、全訳しているが、この三部作の翻訳に当たって特徴的だったのは、写真で御覧の通り和服で角帯を締め、正座をして威儀を正さないと落ち着かなかったことである。今のパソコン時代と違って当時は四百字詰め原稿用紙の時代だったことにもよるが、翻訳に際してもそれぞれの霊団の働きかけが私に威儀を出させたと見るべきであろう。つまり波動を高めないと訳せない要素があったということである。要は私の理解力の問題であろう。
 次いでに付け加えると、集中力を高めるには西洋音楽、中でも静かなピアノ曲を流すのが効果的だったように思う。角田理論でいう右脳を刺激するからであろうか。尺八や琴、三味線は楽器としては大好きだが、知的な仕事には不向きのようである。
 それはともかくとして、『霊訓』(国書刊行会刊。[上・下の二巻として心の道場から復刻])には『続霊訓』(潮文社刊)があり、これには背後霊団についての興味深い説明がある。高級霊団になると似たりよったりの役割分担があるものと推察されるので、簡単に説明しておくと-
 霊団の最高指導霊はインペレーター(「命令者」という意味の仮の名で、地上時代は旧約聖書の「マラキ書」の編者)といい、その指揮のもとに七人ずつ七つのグループから構成され、総勢五十名。実際にスピリチュアリズムの摂理を伝えたのはインペレーターと第一のグループの七人で、他のグループにもそれぞれに役割があり、最後のグループは物理的心霊現象の演出に携わった。興味深いのは第七のグループの霊には第一のグループの指示は受けてもその姿は最後まで見えなかったことである。こうした事情は極めて重要なことで、霊の世界のメカニズムを理解する上で参考になるであろう。
 さて「三大霊訓」のもう一つ『ベールの彼方の生活』(全四巻)はその霊的メカニズムを理解した者には興味津々の霊的メッセージである。地上の三次元的感覚で読むとチンプンカンプンといった印象を与えるようであるが・・・・
 これは霊感書記という極めて高度な自動書記によって入手されたもので、霊媒のオーエンはキリスト教の牧師だった。それをWeekly Dispatchという週刊紙に連載したことから教会の長老から睨まれ、記事を撤回するか牧師を辞めるかの二者択一を要求され、奥さんと相談の末メッセージへの確信を固めて辞任の道を選び、膨大な量の通信を最後まで連載し、その後もスピリチュアリズムの普及に目覚しい貢献をしている。
 これに関連して、当時欧米を席巻したスピリチュアリズムの潮流とは別に、水面下で着々と進行していた注目すべき事実があるので、それに触れておきたい。
 この通信の連載が終わって四巻の書物として発行された時に「推薦文」を寄せたノースクリフ卿は世界にその名を知られた英国の新聞王で、日刊の全国紙「デイリーメール」を初めとして八十種類もの刊行物を発行していた。本名をハームズワースといったが、ノースクリフ卿の称号で呼ばれるのが普通だった。
 過労の為五十七歳の若さで他界し、毀誉褒貶(きよほうへん)、好き勝手な論評が乱れ飛んだが、十七年間一番弟子としてすぐ近くで公私両面を見てきたスワッファーは全く違った見方をしていた。しかもそれは英米を股にかけたスピリチュアリズムの水面下の動きで、スワッファーはそれを克明に追い求めて一冊の書物にまとめて出版し大反響を巻き起こした。それが『「あの世」から帰ってきた英国の新聞王・ノースクリフ』で、まだ全訳は出版されていないが、版権は取得してあり、その全容を知るに足るだけのものを翻訳してあるので、本書第3部に参考文献として紹介しておく。当時の欧米のジャーナリズム界の動きが分かって興味深い。結論として言えることは、ジャーナリズムの発達が熟しきった時代に狙いをつけて霊界から働きかけたと推察してよいのではなかろうか。